(うつ病体験談)39歳 男性 プログラマー

2014年 6月 25日

ご本人のプロフィール

39歳 男性 フリーランスのプログラマー

2002年27歳の時にうつ病と診断を受ける。(当時は制御機械開発のSEとして企業に在籍)

2011年にフリーランスに転身

 

休んでも体調が回復しないことで異変に気づいた

2002年の3月末に新しい機能をリリースするための開発と1年前に混入したソフトウェアの不具合がちょうど顕在化したタイミングが重なって忙しくなりました。すると徐々に疲れが取れないなどの体調不良を感じるようになりました。最初はしっかり寝たり、土日休んだりすることで回復していたのが、徐々に休んでも回復しなくなっていきました。風邪ひいている時のようなだるさが続いて体が異常にだるい、頭がボーとして考えがまとまらない、この仕事ができないんじゃないかというような無力感。もうだめだとか人に嫌われているのではないかというネガティブ思考、朝方に目が覚めちゃうとか、朝ご飯食べて家を出ようとすると嘔吐してしまう。そんな中でなんとか会社に行くという状態でした。仕事はなんとか3月末の新機能のリリースには間に合わせられたのですが、その後休日にゆっくり休んでも全く回復しない。だから、これはひょっとして。。と思って本屋に行ってうつ病について書いてある本を読んで、自分の状態がうつ病の症状に結構当てはまると思い、病院に行きました。2002年頃って、今と違ってうつ病に関する情報ってネットにほとんどなかったんです。だから調べるためには本屋に行くしかなかった。病院もタウンページで調べました。タウンページに命を救われました。タウンページで自宅近くの土日も診察をしている病院を探して電話をしました。電話すると予約なしでも診察してもらえるとの事だったので、すぐに病院に行って、問診と30分程度のチェックテストを行い、その結果うつ病と診断されました。診断結果を聞いて、先生に「仕事をもうやめようと思うんです。」と言ったところ、先生に今は仕事を辞めることを考えないで、まず休職するようにと言われ、薬を処方されて治療が始まりました。当時の治療は最初のうちは2週に1回、その後は薬の効き具合を見ながら月1回という感じになりました。12年目の今は2〜3か月に1回の頻度で治療のために通院しています。

治療を開始する時に先生に休職するように言われましたが、結局しませんでした。会社内でも親しい同期の人を除いてはうつ病と診断された事は言いませんでした。仕事は顧客企業に常駐という勤務形態でしたが、当時の上司はおそらく自分が疲れているのを分かっていたのだと思います。顧客企業側に掛け合って1ヶ月程週4回の勤務にしてくれました。

会社辞める未遂を3回。上司の配慮に救われた

その後、数年間で3回くらい会社を辞める未遂をしました。もうだめだ!と思って上司に「辞めます」と言っては、直前になるといろいろ将来が不安になってくる。辞めたら終わりなんじゃないかと思って、「やっぱりもう少し頑張ります」の繰り返しでした。上司もわかっていたようで、話を自分の所で止めて置いてくれて、自分が撤回すると「まだ正式には会社に話をしてないから大丈夫」と言ってくれました。

今思うと、病気中はいつもできていたことができなくなっているので、職場では今までと同じ仕事の指示とか接し方だと逆にパニックになっちゃいます。だから仕事に関係のある人には病気の事はしっかり言った方がいいのかもしれないですね。そういう感じなので、病院の先生に仕事を休職したほうが良いと言われたときにしっかり休まず働き続けたのが長引いた原因かもしれないと思う事もあります。

自分の内面に目を向けることで落ち着いて対応ができるように

今思うと仕事の忙しさだけでなく、自分の元々持っている資質的なものにも原因があったと考えています。たとえばいつも人の評価や目を非常に気にしてどんな小さなこともいつも全力で全部完璧にこなそうとするというのがずっとあったように思います。小さな心配事も全力で心配してしまうみたいな。「人の目」というのは実際のものではなく、自分で勝手に想像して作り上げちゃったものなんです。こうやると決めてダーっとやって「ハイ終了!」ってできればいいんだけど、出来上がっても自信が持てない、他の人がこれを見たらどう思うだろうと考えると、もうちょっともうちょっとと何度も同じことをやり直してしまう。だから常に終わりのないことをやっている状態です。そうやって自分に負担をかけてしまう資質と当時の忙しさが重なって症状が出たのだと思います。当時は自分の能力の低さの問題だと自分を責めていましたが、今は能力ではなく自分のゴールの設定の仕方とかそういった方法に問題があったのではないかと思っています。

具合が悪い時は、良くわからない不安感や、焦燥感みたいなものがありました。身体的にも重い、胸が焼けるような感じがありました。薬の副作用かとにかく眠かったり、頭にもやがかかった感じがありました。活動できないほど症状は悪くないけど、何かを楽しむほどの余裕はない状態が続きました。一度薬を変えて、ちょっといいかもと思ったのですが、体がむずむずするという副作用が出てきてしまって、もう一度変えてもらったりもしました。薬の量が減ってきたのはここ2年くらいです。今は毎日ではなく、具合の悪い時にだけ薬を飲むようになっています。ここ2年でずいぶん症状を自分でコントロールできるようになりました。コントロールできるようになったの、2年前に大きく体調を崩し、その時からカウンセラーさんの指導を受け始めたことがきっかけだと思います。それまではコントロールできているつもりでもできていなかったんですね。疲れているのが自分では分からないんです。というか、やることがたくさんあっても自分がノッている時は止まりたくないんです。勢いでやっちゃう。それで後になって疲れが出て具合が悪くなってしまう。今は疲れに対して敏感になって早めに休むなど対処ができるようになりました。

時には失敗も。でもそこから学ぶことも

失敗したなというのは調子が悪い時、音楽をかけて無理やりテンションを高めてガッとやってしまおうとしていた時期があるのですが、最初は良くてもだんだんテンションが上がらなくなってあとでガクッと来てさらに落ち込んで体調の悪い日が何日も続くという悪循環をしてしまっていました。いまなら明日にしようと思えるんですけどね。逆にうまくいっていることは定期的な運動です。最近始めたことですが、調子があまり良くない時には軽いお散歩とか。いい時にはランニングや水泳とか。運動した翌々日くらいには調子の良さが始まる気がします。運動を始めたきっかけは今かかっているカウンセラーさんの薦めです。カウンセラーさんの専門が認知行動療法なのですが、思考と感情と体は密接につながっているから、体を変えて行けば感情とかも変わってくる、だから克服に向けて心理的なアプローチだけではなく、物理的なアプローチもしましょうという事で運動をはじめました。確かに運動をサボると状態が悪くなるように感じます。

自分の感情を知ることが思考の修正のとっかかりに

カウンセリングを受けて気が付いたことなのですが、今までの出来事を聞かれて、その時どう感じましたかと聞かれた時、自分が感じたはずの感情について一切答えられなかったのです。自分の感情が全然分からなかった。それはすごいショックでした。それほどまでに自分の感情を握り潰していたのかと。なんかだか無味無感想な人生だなと。自分の場合は感情には気が付かない。その代わりに体に反応が出るということが分かりました。なので、その体の反応から自分の感情を知るところから始めました。たとえば理不尽なことがあったとして感情では気づかないけどその代わりなんか体が変だなと感じる。例えば喉や気道の辺りが急にイガイガした感じになるんです。その体の感じが感情の認知になって自分の思考の修正のとっかかりになる事に気がつきました。体の反応と感情の関係を見つめる事で少しずつ自分の感情を感じるようになってきました。ただまだ喜怒哀楽の喜と楽の気付きは少ない感じですね。

今、うつ病で悩まれている方に伝えたい事

うつ病になるという事は今までの自分が無理していた部分があるという事だと思うので多かれ少なかれ自分の中の見直し、改善できるところがあるという事だと思います。それを見ようとすれば克服へのきっかけがゆっくり少しづつ見えてくると思います。ただそれは時には辛く、痛みが伴うかもしれないので、あまり調子がよくない時はできないかもしれませんが、調子が上向いてきた時には見直しにチャレンジしてみても今後の人生を考えてもいいのかもと思います。自分は、発症から薬だけの治療で寝こむ程悪くはないけど良くもないという状態が10年程度長く続いていたので、うつ病ってこんなものなのかなとあきらめていた部分もあったけれども、2年前に大きく調子を崩した時に、このまままた同じ10年を行くのか、それとも克服に向けて一歩進むのかと考えた時に、一歩進むためにも今の治療と違う取り組みもしないといけないかなと考えて初めて自分の内面と向き合いました。症状以外の自分の問題点をもうちょっと早めに能動的に対応すればよかったかなと思っています。

うつ病になる原因って人によると思うのですが、仕事が忙しいとかその時の一時的な出来事が引き金になるタイプと、何十年もかけて鬱積したものがある日、それが限界値を越えてあふれた時になるタイプがあって、自分は後者なんじゃないかと思います。後者の場合、うつ病を克服するために必要なのは、症状を改善していくには自分自身の内面を探求し、必要な改善をしていくことだと思います。探求して問題に気づけば対処方法の選択肢がたくさん出てきますから。ただ、症状が落ち着いている時でないと難しいかもしれません。また、カウンセラーさんみたいに客観的に自分を見られる第三者がいるとなお良いと思います。

接し方に悩んでいる家族に対してアドバイス

当時自分は家族と同居していましたが、うつ病についての会話はあまりしなかったように思います。でも親も気が付いて接し方などいろいろ勉強していたようです。うつ病になると孤独感が強いので、孤独にさせないことは必要だと思います。ただ、接し方として必要以上に干渉されるのは本人にとってはつらい。具体的な事をしてほしいのではなく、つかず離れず、よろけたら肩を支えるそんな距離感の接し方がいいのかなと思います。