第五回五月病&うつ病後の就職・転職活動その②「五月病への対応」

2015年 4月 24日

こんにちは、宮原です。毎月、うつ病に関するテーマでコラムを書かせて頂いていますが、今回のテーマは「五月病&うつ病後の就職・転職活動について」です。この記事では、五月病についての続きをお話したいと思います〜。

「その①」でお話したのは、

  1.  「五月にかかるから五月病」ではない
  2.  五月病の誕生は大学から

「その②」では、

  1. 五月病の特徴
  2. でも五月病になるのは、大学生だけじゃないよ!
  3. 身近に起こりうる五月病
  4.  もしも、異変に気付いたら・不調を訴えてきたら?

をお話したいと思います。それでは早速続きをご覧ください〜!

五月病の特徴

「五月病」について、青少年の病的心理に詳しい精神科医の笠原嘉先生は、次の4つを特徴として挙げていました。

  1.  過酷なストレスを強いる受験勉強からの解放による引き起こる心理的な「潜水病(浮上すると血管内に気泡が発生して生じる障害)」である。
  2. 主な症状として「無気力」が見られるが、本業である学業に対してのみに限られて、副業であるはずのサークル活動・アルバイトなどには、むしろ活発であったりもする。
  3. 大学入学をきっかけに「自立への促し」を迫られたことが、はじまりであることが多い。今後の人生(進路や生きがい)に関する悩みを含んでいる。
  4. 五月病にかかりやすい学生は、もともと几帳面で生真面目なパーソナリティの持ち主であることが多く、高校時代までは手のかからない良い子である。(1)

この特徴などを見て、こんな風に思った方がいるんではないでしょうか?

「え、嘘でしょ!?大学入学直後とか、一番楽しい時期じゃん!!」
「むしろ、楽しいだけじゃん!毎日がめちゃくちゃ楽しかったし!」
「めっちゃ自由だし、何やってもいいんだし、むしろ人生で一番悩みも何もない時期じゃない?」と。

しかし、本当にそうだったでしょうか。僕たちは意外と細かいことは忘れているものです。大きな問題に発展しなかった場合は尚更。

例えば、高校3年生の夏頃から受験シーズンになりずっと勉強をして、3月中まで張り詰めた日々が続き、念願叶って大学に合格したとします。喜びもつかの間、慌ただしく引越し、近くに誰も知り合いのいない縁もゆかりもない土地での一人暮らしが始まりました。大学生活がスタートしたら、何もかも自分で動かないと何も始まりません。サークル活動しかり、出る授業すらもです。そんな日々に対応するというのは、高校生までの人生では無かったことじゃないですかね。正直、かなりバタバタしっぱなしの慌ただしい期間がずっと続きます。

人によってはこの他にも、例えば、

  • 理想と現実とのギャップ
  • 大学の講義などへの期待外れ感
  • 目標喪失
  • 不本意 or 無目的入学

なんて要素があるかもしれません。そこにトドメとして、先述1、2のように、「生真面目な子が今後の人生について悩む」なんてのが追加されたら、そりゃもうメンタル的に大変ですよね。

また、「五月病」は5月以降の、例えば9月頃にも発生が認められることも知られています。ちょうど9月頃というのも「試験の単位を落とす」「人間関係につまずく」といった事が起こりやすく、そういったことをきっかけに五月病と同様の状態に繋がると言われています。

でも五月病になるのは、大学生だけじゃないよ!

その①でお話した<発見の経緯>や、先ほどの<特徴>の話では、「大学生」というキーワードばかり出してしまいましたが、実は五月病は決して学生だけに発現するものではありません。最初にいったように、五月病とは「新しい環境に適応できないことで起こる症状の総称」なので、例えば、大学生が新社会人として企業に入社した直後も同じことが言えます。

それまでの学生生活では、アルバイトなどを除くと人間関係のベースは狭いコミュニティのなかで、「クラスメイト・友人・先生」といった人が殆どでしょう。それが会社員になり、上司・顧客・業務命令と、縦割りな人間関係がスタートします。これは、とても大きな変化ではないでしょうか。

新入社員の場合だと、2ヶ月ほどの新人研修を経て、各部署へ配属した6月頃に、職場への期待や不安が入り混じったなかで五月病と同様の症状が起こりうるのです。そのケースについては「新五月病」、「六月病」といわれています。

そしてさらに言えば、新入生・新入社員と若い年代だけでなく、五月病は「大きく適応しなければいけないこと」が起こってしまった、どんな年代にも起こるのです。

例えば、ずっと関東圏で生まれ育ってきたのに、前触れもなく急に関西や九州にひとり異動辞令が出されたとしたら。文化も業務も異なる土地に急いで移り、うっすら思い描いてたライプランが白紙になったことに気付きつつも、せわしなく新しい環境に慣れようと気を張り続ける日々。こういったパターンも人によっては危険かもしれません…!!

身近に起こりうる五月病

今、この原稿を書きながら、ふと思い出したことがあります。僕の友人に、人事部で新卒入社枠の採用や研修を担当している人がいました。数年前、うつ病の症状が落ち着いてきた時期の僕に、「新入社員にひとり、配属直後にうつ病で休職しちゃったコがいるんだよね。どういう風に接すればいいと思う?」と尋ねてきたことがありました。あーだーこーだと好き勝手に僕個人の意見を言った記憶がありますが、その時に「(え?!配属直後に休職したの?なんで??)」と思ったのを覚えています。

で、今更ですが、その配属直後に休職したコというのは、まさに今回のテーマである五月病(この場合は新社会人ということで「新五月病」・「六月病」)だった可能性があるな、と今ふと思いました。そう考えると、ちゃんと認識していなかっただけで、今まで割と身近に五月病だった人がいたのかもしれないんですよね。

春先になり、学生も社会人も子供も大人も関係なしに環境が大きく変わる時期です。生活に変化がある方の身近にいるご家族・友人の方は、バタバタとした時期だからこそ、コミュニケーションをとるなかで言動をよくチェックし、その方が無理をしていないか・不安や気疲れを訴えていないか、意識してみてください。新しい環境は楽しいことばかりではないですからね。

もしも、異変に気付いたら・不調を訴えてきたら?

少し余談ですが、バタバタとした生活の変化のなかで、あなたがご家族であったりとても身近な方の不調のサインをキャッチした場合、気をつけて頂きことをお話ししたいと思います。

まず「異変に気付いた」「貴方に不調を訴えてきた」という時点で、貴方は大変素晴らしい御方です。些細な変化に気付けるという注意力と思いやり、または、相談されるに至る信頼感やコミュニケーションをこれまでに築いてきたということの証明かと思います。本当に、本当に素晴らしいです。きっと貴方は真剣に「どうしたの?大丈夫??」と話を聞こうと耳を傾けることでしょう。と、この段階においての注意点を2つお伝えします!ちょっと読んでってくださいな!

①とりあえず受け止め、肯定する

まず、1つ目は『とりあえず受け止め、肯定する』です。

「え、そんなこと?」と思う方もいるでしょうが、これが意外と難しいんです。なぜなら、人は話を聞いていると、ついつい自分の意見を反射的に言ってしまいそうになりがちだからです。それも真剣な空気の中で話を聞いているんですから、尚更です。

通常の状態の相談や愚痴と異なり、五月病やうつ病など精神疾患全般に言えることですが、まずは「じっくり話を聞いて、受け止めて、承認してあげて」ください。せっかく勇気を振り絞って話をしてるのに、「でもさぁ〜」「だってさぁ」と言い返されてしまうと、ストレスや苦痛が一瞬のうちにみるみると増してしまうからです。

②いいことを言おうとしない

続いて2つ目は『いいことを言おうとしない』ことです。

弱々しく、悩み苦しんでいる人を前にすると、つい「どうすればいいんだ」「少しでも何か好転するようなことを言わないと」と一生懸命になって話しかけてしまうでしょう。そして、真面目で真剣な人ほど本やネットなどで情報収集をして、「ウォーキングが良いらしいよ?」「カウンセリング行ってみたら?」など、具体的に効果がありそうなことをオススメしたりします。

ですが、これも通常の愚痴や相談といった場合と異なり、最初の段階では控えた方がいいでしょう!まず、この時点では相手はアドバイスを求めてはいないものとして考えてください。アドバイスを求めていないのに、勝手にアドバイスをしてくる人。これって悲しいことに「ありがた迷惑&余計なお節介野郎」になってしまうのです。いきなりの「具体的・効果的・効率的」な施策提案は、害悪となってしまう場合もあるのです!

例えばです。

貴方が「わんこそば早食い競争大会」に出場しているとします。胃の限界ギリギリのなかで、ガツガツと必死にわんこそばを食べている最中、急に、「ほら、ピザの方が美味しいよ?食べてみたら??」と、ピザを口元に持ってくる人がいたら、(…何言ってんだコイツ?)と思うでしょう。そして、その状況でピザを口にする人はいないと思います。

何の例えだと思うかもしれませんが、メンタルの調子を崩していっぱいいっぱいな状態の人にとっては、それぐらい求めてないアドバイスというのはキツいものなのです。そしてタイミングが悪ければ、提案したことの大半は実行されることもないでしょう。

この2つの注意点「アドバイスせず、とにかく肯定する」という、何とも不思議な注意点を守るのは大変かと思います。「果たしてこんな対応で良いんだろうか?」と疑問にも思うかもしれません。しかし、メンタルの調子を崩してる人からすると、ぐいぐいアドバイスをしてくる人よりも、ただただ話を聞いて受け入れてくれる人の方が、正直ありがたい場合が多いのです。

「でも」「だって」「じゃあ」といった言葉を控えると共に、青山テルマばりに「そばにいるね」感を伝えられるように専念してみてください。

まとめ

「五月病」というネーミングは非常にキャッチーさがありますが、誤解を与えやすい側面もあると思います。本来は、よく発症する時期や誘因を示唆するものとして付けられたのですが、まるで「期間限定」的な、その時期を過ぎれば自然に治っていく一過性のものであるかのような印象を与えちゃってる点です。

もともと「五月病」という言葉が生まれる発端となった「大量の留年学生が出現しはじめた問題」が提起された時も、学生がその後、留年・休学が続き結果として退学することも少なくないことがわかったのです。そう、つまり期間限定でもなければ軽視できることでも全くないのです。

うつ病を始めとする精神疾患全般に言えることですが、早期発見・早期治療がとても大事になってきます。五月病が話題になった3〜40年前とは違い、大学や企業にも、メンタルヘルスの問題に関して様々なサポート体制が整っている場合があります。

新生活の時期には、どうしても外の世界にばかり気を使ってしまいますが、ご自身の気持ちや体調といった内面にもアンテナを立てて、お身体を労わってください。

さて、五月病については一旦これでおしまいになりますが、次は「うつ病後の就職・転職活動」についてお話したいと思いますので、お時間あるときにご覧くださいませませ〜!

(1)大学生と五月病-過去と現在- 「精神科」2011年 第18巻第4号 科学評論社
 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

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