第二回うつ病チェックその②うつ病チェックの中身

2015年 1月 22日

こんにちは、宮原です。前回の『「うつ病のチェック」その①』に引き続き今回も、うつ病をチェックするためのメジャーな基準についてご紹介したいと思います。

QIDS-J(簡易抑うつ症状尺度)

こちらは、前回お話した「DSM」の診断基準にも対応している16項目の自己記入式の評価尺度です。ジョン・ラッシュさんという精神科医の先生が開発し、世界10ヵ国以上で使用されています。日本語版は慶応大学のグループが作成しました。この尺度の特徴は医師ではなく本人が自分の状態についてチェックする「自己記入式」であることです。チェックした番号をそれぞれ足していき、27点満点中何点になるかによって、重症度が判明する方法になっています。QIDS-Jの内容は厚生労働省のウェブサイトでも閲覧できます。

 

さて、続いては、「HAM-D」「MADRS」というチェックをご紹介します。この2つは、これまでの「DSM-5」「ICD-10」「QIDS-J」と少し異なり、うつ病と診断された後の経過観察の為のチェックが使用目的となっています。

HAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)

『HAM-D』とは、1960年にマックス・ハミルトンという可愛らしい名前の方が開発しました「うつ病の重症度評価における世界のゴールドスタンダード」と謳われたこともある、最もメジャーな部類に入る評価尺度です。以後50年以上、世界で使われていて、日本でも1979年以降に長崎大学・北里大学・慶応大学による日本語訳版が使用されています。1967年にハミルトンさん自身が発表した論文でも「この評価尺度はすでにうつ病と診断された方の、治療の経過などに用いられるものである。」「したがってうつ病を診断するために用いるものではない。」と書かれています。

 

なので、例えば、まだ診断も何もされてない方が自分自身でこのチェックを使って、「やべえぇ!!満点とってもうたぁぁああー??!!」という結果になっても、そもそもうつ病を診断するためのものであること、自己記入式ではなく、訓練をうけた精神科医などの専門家が利用するものであることから、あくまでも「重度のうつ病の疑いがある」という認識でその場はとどめておくことが大事です。こういう違いなんて僕みたいな一般人は知らないですから、ついつい勘違いしてしまいますよね。基本的には21項目版が主に使用され、各項目を0〜2の3段階評価、もしくは0〜4の5段階評価になっています。専門家の用途によって通常とは項目数が異なるバージョンなんかもあるみたいで、「HAM-D抽出版」「HAM-D拡張版」「HAM-D改変版」といったシリーズが目的別に開発さています。まるで宇宙戦艦ヤマトの映画版みたいですね。「完結編」とか「復活編」みたいな。数十年後には「HAM-D永遠に」とか「さらばHAM-D愛の戦士たち」とかあってもおかしくありませんね、おかしいですね。うつ病と診断された方が受けるものを前提としているので、特徴としてうつ病発症時に併せて一緒に出やすい様々な身体症状や不安な精神症状なんかも項目に多く含まれています。

MADRS

こちらも、先ほどの「HAM-D」と同様、うつ病の重症度評価に世界中で使われています。(こちらも自己記入式ではなく、訓練をうけた精神科医などの専門家が利用するものです。)そう聞くと、少し似てるんだなぁ〜と思ってしまいますね。では、HAM-Dと何が違うのか・MADRSの特徴は何かというと、HAM-Dの項目に含まれていました、うつ病発症時に併せて一緒に出やすい消化器系であったり一般的であったり不安の身体症状といった項目が除外されて、MADRSでは精神症状をメインに評価を重視していることと言われています。身体症状を除けることで、精神症状の変化を重視しているんだそうです。

 

豆知識として、MADRSを開発したモンゴメリさんとアスベルグさんはもともと「CPRS」というチェック基準を開発しました。そのCPRSというのは、うつ病以外にも統合失調症や強迫性障害、認知症など様々な精神疾患を網羅するし、それらを測定するのが目的でした。そのCPRSの項目は全部で67項目。その内からうつ状態を評価するために10項目抜き出したものがMADRSになります。その10項目を0〜6の7段階で評価する形となっています。

 

日本でも80年代後半には紹介され、2003年には昭和大学グループより翻訳され日本語版が生まれました。ちなみに、MADRSの正式名称は「Montgomery-Asberg Depression Rating Scale」、HAM-Dの正式名称は「Hamilton Depression Scale」というのですが、それぞれの略称を決めたのは「一般社団法人 日本精神科評価尺度研究会」という団体だそうです。色んな団体があるんですね〜。
以上で、うつ病チェックのご紹介は一旦お終いにしたいと思います。国内のみならず、世界中のお医者さんや研究者の方が実際に利用している複数のチェック方法を前回と併せてご紹介致しました。

 

しかし、今回僕は肝心のチェック項目について記述していません。「どんな内容なんだ?それが肝心じゃね??どんな設問があるの??」とお思いの方もいるとは思いますが、肝心なのはそこではないんです。
DSMもICDも、QIDS-JもHAM-DもMADRSも全て、要は「うつ病の主な症状が出ているかな?どうかな〜?」ということを確認するのが主な目的なことには変わりがない、ということなのです。
このコラムの第一回のその①では、「うつ病の症状について」をお話させて頂きました。そこでも書きましたが、代表的な症状は「身体症状」=眠れない・食欲がない・疲れやすい等、「精神症状」=憂うつな気分が続く・集中力が低下する・頭が働かない等といったことです。それぞれのチェックで項目数や表現は多少異なりますが、上記のようなことが貴方にいま起こっていますか?ということを尋ねているのです。

 

皆さんに3つのお願い

さて、ここまでお読み頂いた皆さんに、最後に3つお願いがあります。

 

まず1つ目。皆さんがパソコンやスマホを使ってうつ病のチェックをしている、そのサイトであったりアプリは、何を基準にチェックリストが作られているのか・明記されているかチェックしてみてください。今回ご紹介した評価尺度であったり、きちんとした出典元であるのかどうかです。

 

2つ目ですが、チェック結果に対して良くも悪くも過度に反応しないでください。通常の状態で明らかにお遊びのようなアプリを使い、「あっちゃ〜!俺、うつ度70%だって〜!ヤベェー!」とワイワイするのは個人的に全く問題ないと思っています。雑誌の占いコーナーで「よっしゃー!今日は双子座が調子良い日だ!」とウキウキするのと同じ感じだと思うからです。ただし、本当にご自身の体調や精神状況に一抹の不安を感じつつチェックしたのなら、どうか続いて3つ目のお願いを聞いてください。

 

3つ目は、そのまま医師の診断を実際に受けてみてください。兎にも角にも、実際に病気かどうか一体全体何なのかを診断できるのは、あなた自身でもなく、身近な方でもなく、お医者さんだけです。また詳しくご紹介できればと思っていますが、近年では、光トポグラフィー検査といって頭に近赤外線を当て脳の活動状態を数値化することでうつ病などの病気かどうかを診断するという手法も始まっています。もしかしたら、そんな新しい診断方法を体験しながら、あなたの健康状態を知ることに繋がるかもしれません。次回の「その③」では、この「診断を受けに行く」ということについてお話したいと思います。それでは、また次回よろしくお願いします。

 

 

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

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