旅行や出張などで海外に行く場合、うつ病の治療で日常的に服薬している薬を持ち出すには手続きが必要だと聞いたことはないでしょうか?具体的にどんな手続きが必要で、どのように行うのか。手続きを経験した方に教えていただきました。
「僕は10年近くうつ病と付き合っていて、今も抗うつ薬などの薬を継続して服用しています。今年1月に旅行で2週間ほどアメリカに行くことになりました。アメリカへの向精神薬の持ち込みは厳しいと聞いたことがありました。、万が一、空港で抗うつ薬を没収されたら安心して旅行が楽しめないし、何より持込みによって処罰されるようなことがあっては大変なので、実際、抗うつ薬をアメリカに持ち込むにはどのような手続きが必要か調べてみました。
まず、アメリカ大使館に確認してみたら『向精神薬は主治医の診断書がないと持ち込めない。診断書は英語で書かれていること、日本語で書かれている場合は、英訳し、英訳した人のサインが必要。』との事でした。ただ、この『向精神薬』というのは僕の飲んでいる薬のどれが当たるのか分からなかったのと、渡航まであまり時間がないこともあって、とりあえず、医師に診断書を書いてもらう事にしました。
ここからが結構大変でした。最初はかかりつけの病院に電話でお願いすれば診断書を書いて郵送してもらえるくらいに考えていました。ですが、電話では受け付けてもらえず、病院で医師の診察を受けて、さらにその場ではすぐに診断書はもらえず、1週間後に再度病院に取りに行かなければなりませんでした。
また、医師に事情を話して診断書を書いてもらうようにお願いしても、最初は「診断書を持っていかなくても問題ない」と言われてしまいました。それでも没収や処罰が不安である旨を伝えて何とか書いてもらいました。
2週間分の薬と診断書は手荷物に入れていきました。荷物のチェックを受けてもすぐに対応できるし、飛行機の中で万が一具合が悪くなった時に飲めるようにと考えたからです。
結局、渡航中は診断書を利用することはありませんでしたが、不安なく旅行を楽しめてよかったです。海外へ渡航をする際に薬を携帯する手続きは結構時間と手間がかかるんだなというのが実感です。もし旅行や出張などで海外に渡航する人は、早めの確認、手配をおすすめします。」
※抗うつ薬をはじめとした向精神薬は「日本からの持ち出し」「外国への持ち込み」の2つについて制限があります。
■日本からの持ち出し
一定量を越えなければ手続きは必要なく国外へ持ち出せます。一定量を超える場合、自分の治療のために必要なことを証明する書類が必要になります。(処方箋の写しや診断書など医師が作成した証明書など)
「一定量」の確認はこちら→厚生労働省近畿厚生局「医療用麻薬・向精神薬を携帯して海外へ渡航する際の手続きについて」
■海外への持ち込み
・ 渡航先の国では日本と異なる法規制を行っている場合があります。自身の治療のため、抗うつ薬などの向精神薬の持ち込みをする場合は事前に渡航先の国の在日大使館等に許可等が必要かどうか、必要な場合にはその手続きについても確認が必要です。
・海外で向精神薬を所持する場合、違法薬物所持の疑いをかけられるなどのトラブルを避けるために、上記手続きにかかわらず、英文で記載された医師の証明書等を携帯することが推奨されています。
参照:厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」