rTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)の治験を受けてきました

2014年 10月 16日

うつ病の新しい治療方法として注目されているrTMS(反復性経頭蓋磁気刺激)。「rTMSの治療はどんな感じなの?」と関心のある方も多いかと思います。そのrTMSの治験レポートをお届けします。レポーターは株式会社U2plus(ユーツープラス)の東藤泰宏さん。東藤さんはご自身のうつ病の経験を元にウェブでの認知行動療法サービスを開発し、提供されています。

 

10726421_860823107284189_1292885923_n東藤泰宏さん
1981年神奈川県生まれ。IT業界で働くうち、過労のためにうつ病となる。
1年半のうつ病ニート時代を経て「ゆううつ部」(ブログ)を開設。
2011年にスカイライト社主催の「起業チャレンジ2011」で最優秀賞を獲得。
その賞金300万円で起業。仲間を集め、2012年1月に認知行動療法をウェブで行う「U2plus」を公開。現在もうつ闘病中
■U2plus:うつの予防と回復をサポート, みんなで行う認知行動療法 http://u2plus.jp/
■U2plusブログ「ゆううつ部」 http://blog.u2plus.jp/
■著作「ゆううつ部!」http://goo.gl/a6jPkI

 

うつ病へのrTMSを、厚生労働省の治験でうけてきましたので、その模様をかんたんにレポートします。

場所は神奈川県立、芹香病院。
以下のページから、現在も治験への申込みが可能です。(2014年10月5日現在)
http://seishin.kanagawa-pho.jp/neuromodulation/index.htm

rTMSとは
rTMSは脳に磁気の刺激を与える治療法で、うつ症状に対しても有効であると言われています。
日本では未承認なので、高額な保険適応外でうけるか、無料の治験プログラムを利用することになります。
担当の医師からは、約6割の人に治療効果があり、その他の人には全く変化が見られない。治療効果がある6割の約半分の人は寛解すると説明をうけました。

rTMSの副作用について
副作用はあまりないと考えていいと思います。数万回の施術に対して、1回の割合で「けいれん」が起きることがあります。その対策として、施術中は医師が離れずにいるルールになっています。また、頭痛が起きる方もいます。これは頭痛薬で対応します。(もちろん効果と副作用については、ご自身で調べた上で、医師から正確な情報を教えてもらいましょう。)

rTMS治験は相談した人からの情報
精神科専門の出版社の方に教えていただきました。
体調が悪くてカフェに行くのもやっと、これでは仕事にならない!ということで色々な方に相談をしていたのです。
うつ症状でつらいときには、閉じこもってしまいがちですが、ぼくは思い切って世間に開いてみることにしました。仕事の元同僚、元取引先、リワークの方などなど…行政にも相談しましたが、「ここに保険行政のパンフレットがあります。しかし、あなたに使えるものはないようです。」と言われてしまいました。
そんなときに訪れた旧知の出版社で、「とうどうくん!治験やってるよ。無料だからノーリスク!」と、プリントアウトされた芹香病院の「rTMS応募用紙」を渡されたのでした。プラセボ刺激(後述します)の可能性もありましたが、「しばらく入院してしっかり休む。しかも無料。」ということ自体にも惹かれたので、申し込むことにしました。

rTMSの治療はこんな感じ
はじめに、みなさんが興味があると思われるrTMS治療の実際の内容についてご説明します。
こんな3ステップです。
①大きな椅子に座る
②ぺたぺたと、顔にコードを貼っていく
③コイルを頭の片方に合わせて、バリバリバリ!と磁気を流す

こんな感じです。
「バリバリバリ!」が一番興味を引くところかと思います。最初は痛いです。「高速で強烈なデコピンを受けている」ような感覚でした。
しかし、医師が強さを調整してくれますし、3回目くらいからは「あれ?」というくらい痛みはなくなります。刺激に対してすぐに慣れてしまうようです。むしろ、午前中に施術されると「目が覚めてちょうどいいなあ」と思っていました。

治療時の入院生活
ごはんがおいしくないです。というのは置いておいて。
「ストレスケア病棟」という、外出可能な開放病棟への入院となります。うつ症状を持つ方が、環境調整などのために20人前後入院しているところに、rTMS治験の人が1~2人はいるカタチです。治験の参加者は基本的に個室、とのことです。最初に2〜3週間ほど「検査入院」があります。ここで減薬をし、入院環境に慣れていきます。ぼくの場合は、1日に23錠飲んでいた色々なお薬が、合計5錠にまで減らされました。フラフラになる…かと思いきや、意外と大丈夫。これは「いざとなったら、いつでも看護婦さんや医師がいる」という入院ならではの安心感があったからかもしれません。問題がなければ、医師と改めて治験に関して文章で契約を結び、4~6週間の磁気刺激入院となります。6時半に朝食があり、9時に消灯。外出や外食は、届けをだせば可能でした(飲酒はもちろんだめです)。芹香病院は横浜の山の上にあるのですが、みなバスに乗って横浜駅や東戸塚駅へ行ったりしていました。なお、一般のうつ病の入院患者さんは外泊が可能なのですが、治験参加者は外泊が認められません。「効果を測定するため、環境は一定に保たなくてはいけない」とのことでした。

プラセボ刺激群とは「治療はなにもされない」治験者
と、ここまでrTMS治療について書いてきましたが、じつは「入院はするけど、治療はなにもされない」という可能性もあります。実際に刺激をするグループと、刺激をしたフリだけして磁気を流さない(意味のない場所に流す)グループのどちらにいれられるかはわかりません。あくまで「研究」であるため、効果を比較する必要があるためです。1/3の参加者が、この偽刺激グループにはいるとのことでした。「2ヶ月半入院して、なにもしないのか…」という気もしますが、本来高額なrTMSがタダで受けられる(可能性が高い)ので、ぼくは仕方ないかな、と判断しました。

費用は検査入院分のみ
rTMS及び、その期間(4~8週間)の入院費用は無料です。ベッドやシーツ交換、食費も全て無料です。ただし、2~3週間の検査入院に関しては、本来の費用(保険適応)がかかります。ぼくの場合は合計で13万円ほどでした。

rTMS治療を受けた結果はどうだったのか?
なんと、寛解しました。
2週間に一度検査を受けるのですが、磁気刺激を受けてから3週間めで効果が見られ、退院時には寛解レベルに達していました。6年間やったうつ病がついに治った…!
と喜んでいたのですが、一番体調がよかったのがなんと退院の日。それから徐々に体調は低下気味であります。ざんねん。しかし、入院前に比べたら、それでもかなり回復しています。なにより、会話できる時間が長くなったのがうれしい。これまでは15分以上話すとよくうつ状態になってしまうのが常でした(しかしがんばって1時間は話す)。今は2時間くらい続けても大丈夫なことが多いです。これまでのどんな薬よりも効果はあったと思います。というわけで、治験をうけてみてよかったな、というのが今の感想です。

ご興味を持たれた方は、上記のURLから申し込んでみてはいかがでしょうか。治療に関してはもちろん、入院生活や費用などは、必ず病院にご自身でご確認くださいませ。では!

【精神科医の先生による用語の解説】
寛解とは、一般に、病気の症状がほぼ消失した状態をいいます。「治癒」に近い状態ですが、症状消失後も一定期間の予防的な内服や経過観察を行う必要がある場合、治癒とは言わず「寛解」と呼ぶことが多いです。
うつ病は、疲れすぎたり、大きなストレスを受けたときに再発しやすいです。また不規則な生活も再発の危険性を高めます。当面の間は、過労はさけ、十分な休養をとりながら、規則正しい生活を続けてください。適度な運動も再発予防に効果的です。万が一、眠れない、食欲がない、気分がゆううつ、などの再発の兆候がみられた場合には、早めに受診してください。