(家族としてのうつ病体験談)40代 プロジェクトマネジャー

2014年 4月 20日

1. ご本人と家族のプロフィールと関係

インタビュアー:妻(40代前半)
患者:夫(40代前半)仕事:プロジェクトマネジャー
発症時期:2007年(夫が30代半ばの頃)
休職・退職を経て2013年3月に再就職

2. ご主人の異変に気付いたきっかけは何でしたか?

夫は通信社のプロジェクトマネジャーとして仕事をしていました。2007年に入籍した頃とほぼ同時期にITコンサル会社に転職しました。
転職して1〜2か月後くらいから、会社に行きたくない、ここで交通事故に遭えば会社に行かなくても済むのに、などと言うようになり、様子がおかしいと思い始めました。1ヶ月ほど病院に行くかどうか悩んだ後、近所のメンタルクリニックにかかり、うつ病との診断を受けました。その一週間後、私も医師に呼ばれ、うつ病に関する説明を受け、うつ病の治療には家族の理解と協力が必要だと言われました。その時は、夫がうつ病であるという実感はありませんでした。ただ、自分の中にうつ病に対するネガティブなイメージがあったのと、元に戻るのにどれくらいの時間がかかるのか分からず、先の見えない漠然とした不安に駆られました。

3.うつ病になったきっかけは何だったのでしょう?

転職してすぐにアサインされたプロジェクトが本人にとって非常にハードルが高かったようです。今まで取り組んだことのない分野で、客先で打ち合わせをしても、内容を理解できないし、それを誰にも聞くことができない状態。たまりかねて、上司に相談しても「やるしかないだろう」と言われてしまって。。。それでも、もともとすごく真面目なので、 何とか踏ん張ろうとしたようで、かなり頑張って会社に行っていました。それが原因だったのではないかと思います。

4. うつ病と診断された後、ご主人はどうされましたか?

うつ病の診断結果を会社に報告して、1〜2日で引継ぎをして休職しました。半年ほど休職して復職をし、復帰後は仕事内容も変わってしばらくは順調だったのですが、仕事上でのちょっとしたミスからまた調子が悪くなって2度目の休職しました。そこから2年半、休職と復職を何度か繰り返しました。

5. 家族としてどのようなことに悩みましたか?

まず、接し方としてすごいテンションが高くなってしまうことへの対応。夜寝られずにお酒を飲みにいってしまう、ずっとしゃべり続ける、普段は全く買わない雑誌や食べ物、洋服を山のように買ってくるなど、夫の中で何か起きているのか分からずとても戸惑いました。そういうテンションの高い状態になることが何度かありました。その一方でソファーでずっと寝ているときもあり、ただやる気がないだけなのではないかと思ってかなりフラストレーションがたまりました。夫とは実際にケンカもかなりしました。夜どおし言い合いになったりしたこともあります。

6.そのフラストレーションはどう克服したのですか?

この頃は気の置けない友人によく不満や文句を聞いてもらってガス抜きしていました。本当に切羽つまって泣いて相談したこともありました。また、夫にも実家に帰ったり、友人と旅行に行ってもらったりなどもしました。そして、ネットで情報を検索したりして、うつ病への理解が深まり、同じようなことで悩んでいる人がたくさんいることを知り、今は仕方がないんだ、きちんと治療すれば治る病気だし、とにかく治るまでもう少し頑張ろうと自分に言い聞かせ、自分の気持ちをだましだまし対応してきました。また、夫がうつ病であることを隠していてもしょうがないと思い、いろんな人に話したり、相談したのですが、私の周りの人は皆、うつ病のことや自分の状況を理解し、話を聞き、見守ってくれたので気が楽になり、本当に有難かったです。今では、「ご主人、だいぶ調子よくなってきたね」などと言っていただくこともあります。

7. 通院はどうされていたのですが?

最初にかかった近所のクリニックに定期的に通っていました。テンションが高くなって対応に困った時、知人に相談してセカンドオピニオンを受けに別のクリニックに夫とともに行きました。その時、私は診察室に入れず、医師に会ったのは主人だけだったのですが、診断も処方されている薬も適切だという事で、引き続き近所のクリニックに通っていました。

8.これがきっかけでうつ病の克服に向かったというような、何か転機のようなものはありましたか?

実は、実母もほぼ同時期にうつ病と診断されていました。2人の症状に右往左往していては自分がやられてしまうと感じ、思っても仕方がない漠然とした先への不安みたいなものを気にしないようにしよう、明けない夜はないからと、淡々と一日一日を積み重ねてここまで来たという感じです。あと、いつもお仕事でご一緒させていただいている方の「悩んでも問題は解決しない。だったらどうしたら解決するのか考えればいい」という言葉を聞いて、はっとさせられました。こんなことがあったらどうしようと先の事をいろいろ考えたりするのだけれども、それが起こるかどうかもわからない。だったら起きたときにどう対処するか考えればいいかなと。これが私にとっては考えを転換させる大きなきっかけとなりましたね。

9.今、ご主人は再就職されたとのことですが、どのような経緯だったのですか?

2013年の3月から知人の会社に就職し、仕事をしています。その会社へは病気であったという事情を話して、まずは1か月半の試用期間で様子を見て、大丈夫そうだったら正社員での雇用に切り替えるという条件で入社し、無事、正社員として採用されました。大企業でのプロジェクトマネジメントや海外での仕事の実績を買われ、将来の経営幹部として会社でも頼られており、本人も一度失った自信を少しづつ取り戻しているようです。
実は、ここまで来るのも本当に大変でした。前の会社からの傷病手当の給付が切れる2010年の秋頃に転職活動を開始したのですが、全く上手く行かず、決まるまで2年以上かかりました。その間40〜50社受けたのですが、どれも決まりそうになって最後でダメになるの繰り返し。その度に自信を失って体調も悪くなるという悪循環で、見ているこちらも本当にきつかったです。療養期間よりもずっと辛かった。やっと新しい事をしようとしているのに、これではまた心が折れてしまうと。ここで上手く行けば夫の気持ちも楽になるし、体調もいい方向に向かうと考えていたので。仕事上でブランクがあることを問われ、それを真面目に病気療養中であったと答えたのがよくなかったみたいですね。この時は、本人の負担にならないよう、面接の結果は本人が言わない限り聞かないようにしていました。本当はどうなったのか聞きたくて仕方がなかったのですが。

10. 同じ経験をしている方に伝えたい事、また、聞きたい事はありますか?

伝えたいことは、とにかくいろいろなことを気にしない。今までと変わったことは、身内がうつ病という病気になったことだけだから、それ以外の事は、いつも通り淡々と過ごしていくこと、何か助けが必要な時に対応すればいいと考えることだと思います。そして、ありのままを受け入れるということ。まずは状況を受け入れ、開き直れば光が見えてくるのではないかと思います。とはいえ、うちは子供がいないのでそう考えることもできるのだとも思いますし、まだこの先どうなるのかという不安もあります。
あとは、うつ病のことを恥ずかしいと思わないでということ。恥ずかしいと思うと人にも相談できない。自分からうつ病ってどんな病気かということを伝えることで、意外とみんな理解して力になってくれるというのが実感です。私も、最初は恥ずかしいと思っていましたが、勉強と経験を重ねることで、うつ病に対する認識がずいぶんと変わりました。

聞きたい事は、皆さん、接し方を含め日ごろどのように対応しているのかということ。自分ではベストを尽くしているつもりだけれども、本当にこれでいいのかと思うこともあるので、いろんな経験者の方がどんな対応をしているのかお話を聞いてみたいですね。

Categories: 家族の体験談

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