(双極性障害Ⅱ型体験談)37歳 団体職員

2014年 6月 17日

ご本人のプロフィール

37歳 団体職員

妻と子供(0歳)の3人家族

大学3年生の時にオーバートレーニング症候群を発症。(オーバートレーニング症候群の詳細については文末に記載)

社会人になってから双極性障害Ⅱ型と診断を受ける。

 

異変に気付いたきっかけはどのようなことでしたか?

大学では体育会系でスポーツをしていたのですが、大学3年生の時にオーバートレーニング症候群で軽いうつ状態と診断されました。この時は半年の投薬治療で症状は改善し、問題なく生活できるようになりました。その後、社会人になって2年くらいして、すごい気持ちがどんよりして、体がだるいという症状が出てきました。特に朝にかけて意欲がないという状態になりました。

どのような状態でしたか?

自分は仕事をすごい頑張っていました。それゆえに、職場で意見がぶつかりあったり、「なんだよあいつ!」みたいなものもありましたが、人間関係も問題ありませんでした。仕事に対してもやる気が満ちていて、今日はここまでやらなければならない、明日は何をしようと。いつも仕事に熱中していました。こういう病気にありがちな「ねばならない」という気持ちが強かったですが、高い目標を持って生き生きと仕事をしていたと自分では思っています。それが、自分への過度なプレッシャーになったみたいで、強いストレスがかかっていたようです。仕事にやりがいがあって、人間関係も良好なのに病気になったというのは他の人とは違うかもしれません。

自分への過度なプレッシャーがかかっていると気が付いたのはだいぶ後になってからです。ちょっと心も体も休ませなさいと会社の人に言われて、会社を休んで一人でぼーっとしている時に、ゆっくり振り返ったら、朝起きると今日はここまでやらなきゃいけないなど「もっとできる」「まだやらなきゃ」と毎日毎日強く思っていたなと気が付きました。昔から自分を追い込むタイプでした。努力を腹八分目で止めることができないんですね。ここまでできたんだからもっとやれるだろうとどんどん自分のハードルを上げていました。

でも、実は、自分を追い込んでいた時と成果は比例しないんですね。どちらかというと、努力の腹八分目くらいで成果が出るので、もっとやればもっと成果が出るかもとどんどん頑張ってしまって結果オーバーワークで失敗するという感じでした。

体調の変化にはだれが気付きましたか?焦りなどはありましたか?

学生の時も社会人の時も自分で気が付いて病院に行きました。学生の時のオーバートレーニング症候群の際には最初はうつとは思っていませんでした。体が動かないので病院にいっていろいろ調べたら気分がかなり落ち込んでいるよと言われて、あ、それがいわゆるうつという状態なんだと知りました。そういう経験があったので、社会人になった時には「あの時と同じ症状だ。」と比較的早く気がつけました。その後、しっかり休むように会社に言われて休職をしました。

休職をしていた時、焦りはありました。自分の将来のことではなく、仕事のことでです。あの件は途中になってしまったとか、人に引き継がなければならないこととか、残してきた仕事の事が気になって仕方がありませんでした。会社の人にはそんなことは気にしなくて良いからとにかく休めと言ってくれました。そう言ってもらえただけでゆっくり休職期間を過ごす事ができました。

休職後はどのように過ごされていましたか?

とにかく横になっているばかりでした。よく、生活リズムを崩さないように、朝起きて散歩したり、図書館に行くように言われたりしますが、しんどくてとてもできなかったですね。それができたら休職しないで会社にいけますよね。

そのような状態が4年くらい続きました。初期は回復と悪化を繰り返していましたが、その後は1〜2年症状の悪い状態が続きましたね。この間1〜2か月のスパンで休職と復職を繰り返していました。

当時困ったのは、一人暮らしだったのですが、意欲がない時は、食事を買いに行く気にも食べに行く気にもならないんです。だから兵糧攻めみたいで大変でした。もともと人に助けを求められない性格なのですが、友達が状況を察して遠くから食料を送ってくれて助かりました。でも、闘病中は何よりも体がしんどいという症状が一番つらかったですね。

周りの方は双極性障害Ⅱ型の事をご存じだったのでしょうか?

ある時を境に、自分が双極性障害Ⅱ型と診断されている事を周りに言いました。その方が楽だからです。約束をしていても体調が悪くなって直前にキャンセルせざるを得ない時があったり、言ってなかった時はやせ我慢をしなければならないのが大変でした。最近はうつ病や双極性障害への理解が進んでいるとはいえ、自分のプライドがあってそういう病気だと知られたらどんな目で見られるのか、将来にどんな影響が出るのかが不安でした。でも、実際に言ってみると、良い意味で違う反応が返ってきました。まさかお前がそういう病気になるとは思わなかったけど、無理するなよなどと言ってくれて、受け入れてもらえたことに安心しました。実は心配してほしいという気持ちもあったので、気が楽になりましたし、うれしかったです。心配してほしいっていうのは、自分の生まれつきの性格なんだと思います。実際は、何でも自分で決めてどんどんやってしまうし、一人でも平気なので、周りからはそうは見えないみたいなんですが、実際は寂しがり屋なんだと思います。健康な時は一部の人しか知らなくてもいい自分の内面かもしれないんですが、しんどくなった時は本当の孤独みたいになっちゃうので、そういう時には、自分の素を分かってくれる助けを求められる人や、目をかけてくれる人がいるといいと思いました。

職場でもプライベートでも皆、自分の状況を理解し、受け入れてくれて、双極性障害Ⅱ型からも回復した。振り返ってみると自分は本当に幸運だと思います。前に仕事をしていた人も連絡をしてくれたりして、励みになりましたね。皆さんにメールで復職のご挨拶をしたら、50通以上の祝福のメールが返ってきて、そのときも本当にうれしかったですね。その分、その後の「無理するな攻撃」の数も、多くなりましたけど(笑)

いつでも待っているよ、長くかかってもいいからちゃんと元気になれよと言葉をかけてくれた人がいっぱいいて、自分が病気である事を言ったことによって、みんなが心配して連絡してくれる。家族も一切尻を叩かないし、口出ししないし、ありがたかったです。でも、実は「大丈夫か?」などと声をかけてほしい時もあるんです。でも、家族も声かけすぎたらまずいと思っているのか、もんどり打つように頭が痛いという症状が出て寝ている時に、隣の部屋でテレビを見続けているなど、ちょっとは気にしてくれないかな〜と思う事もありました。

接し方に悩んでいる家族に対してアドバイスをお願いします

初めての経験だから接し方が分からないし、本に書いている接し方も、かなり安全策だという印象があります。その中でご家族は「声かけるのはよくないと」考えなくてもいいかもと思います。自分の思ったタイミングで声をかけて、あまりよくない対応がかえってきても、今はそうなんだなって感じでいいと思います。そういうのって普段のコミュニケーションでもありますよね。何気なく言った(言われた)ことに反発されたり(したり)。それと一緒だと思います。声をかけることが症状の悪化につながるのではと心配するご家族の方もいらっしゃるようですが、「いつまでもだらだらするな」とか「甘えているとか」よっぽどきついことを言い過ぎなければ症状が悪化することもないと思いますよ。自分もきちんと起きて活動したいとか仕事とかやりたいと思っているのに体が言うことを聞かなくて困っていて、決して好き好んで休んでいるわけではないのです。それなのに甘えているなどと決めつけられるのはつらいと思います。しんどい時に責めないで、優しい言葉をかけてあげて、嫌な反応があってもコミュニケーションをやめないで欲しいと思います。さみしいと感じますから。

あと、ちょっと体調がいい時はしんどい気持ちを紛らわすために気分転換もしたいものです。病気で休んでるんだから家にこもってなければならないというのではなく、ちょっとした気分転換を許してほしいですね。

自分が家族に言われてうれしかった事のエピソードがいくつかあります。

①父が自分の好きな釣りに誘ってくれたこと

絶対に無理強いはしませんでしたが、気分転換に付き合ってくれたのがうれしかったですね。一人ぼっちがつらい時が本当にあるので、理解のある人が近くにいるのはうれしいですね。もともと几帳面で完璧主義で妥協を知らないのが双極性障害Ⅱ型の人の特徴なので無理強いすれば「やらなきゃ!」になってますます具合が悪くなると思います。

 

②「お前は(亡くなった)母さんの自慢の息子なんだから、絶対大丈夫だ。」という言葉。

病状がかなり回復していろいろと気持ちが前向きになったときに父から言われた言葉です。母は私が大学時代に亡くなったのですが、母の死は父にも私にも人生でかなりの大きな出来事でいろいろと心残りだったこともあり、心に残った、勇気をもらった言葉でした。

 

③「俺が行くまで待ってろ」

病状が最悪のころで、まだ関西で一人暮らしをしているときに一度だけ本気で死のうと思ったことがあり、父に「明日の朝、始発電車に飛び込む」とメールで伝えたら一時間後に「今、高速に乗ったから、とりあえず俺が到着するまで待ってろ」と返事が来たことですね。

夜中の23時くらいに東京から高速に乗って、関西まではギリギリ始発電車に間に合うかどうかですが(笑)、家族が自分のことをここまで大事に思ってくれているんだと、自分はとんでもないことをメールしてしまったのだと心底痛感し、それからは、二度とそんなことは言わないでおこう、家族のために必ず元気になろうと思いましたね。

同じ双極性障害Ⅱ型の方に伝えたい事はありますか?

流れに逆らわないということでしょうか。しんどい時はやすめば良いし、楽しいことや熱中できることを見つけることだと思います。

会社員が病気のことを公表するネックは会社での将来に限界が出て人生がおしまいになるんじゃないかと思うことなのかなと思います。自分の場合は開き直って、もしそうなっても病気が治ったらできるんじゃないかと思っていました。たとえ、今いる会社で上手く行かなくてもおしまいではないですよね。自分は転職したけど体調もよく、仕事もうまくやれています。希望をもって、流れに逆らわず自然体でやっていけば、思った以上に健やかな生活が送れるのではないでしょうか。後は何でもいいから楽しいこと熱中できることが見つかれば没頭できるので病気の事もあまり気にならなくなるようになり、気力が回復してくるという好循環が生まれるように感じます。病気だからといっていろんなことをやっちゃいけないと思わない方がいいと思います。たとえ何かチャレンジして症状が悪化しても学習しますから、トライすらするなという必要はないんじゃないかと思います。自分も調子がいい時にいろいろやって、3か月くらいは順調なんだけど、その後どーんと落ち込みが来るなどのトライ&エラーを何度も繰り返して、ちょっとずつ落込みの期間が短くなって今に至ります。

実は自分が転職するとは思っていませんでした。以前から興味のある業界だったのですが、接点もなく、どうしようかと思っていた時、最後に、自分の背中を押したのは「人生は一度きりだ」ということです。その時にかかっていた医師に、「100人がダメだといっても、それでもお前がやりたいと思うならやればいい」と言ってくれてそれが良いきっかけになりました。あと、本当に最後に「えーい、飛び込んじまえ!」と思ったのは自分の年齢や業界の状況から「この状況を逃したら次のチャンスはない」というタイミングだったのです。思い切ってやったことが、たまたま上手くいきました。病気でない人にとっても一大決心ですから、病気だったらなおさら無難にやって言った方がいいという考えもあるでしょうし、周りの反対をあるでしょうからそれを振り切ってまでとは言わないけど、病気だからと言ってあんまりこれもだめあれもだめと自分に制限をつけすぎない方がよいと思います。あんまりおもしろくない人生になるんじゃないかと思います。

あんまり負荷をかけない方が良いと思われている病気ですから、特に社内だとそういう扱いになるのは仕方がないのかなと思います。それでもどうしても会社に居続けたいならリスク(周りの目)を受け入れるしかない、でも安定は得られます。安定ではなく、生活スタイルの自由度を求めるのもありだと思います。最近安定と日々の生活スタイルはトレードオフなんじゃないかと思うようになりました。

周囲の方に病気を告白するかどうか、本当に一長一短ですが、自分が孤独ではなく、多くの人に支えてもらっていて、すごく幸せな人間なんだと思えたという意味で、自分は告白してよかった。病気の事は信頼できる人には言った方が良いのではないかと思います。

病気になってよかったなんて決して思いませんが、病気にならなければ「自分がものすごく幸せな人間なんだ」と理解することは一生なかったのかな、と思っています。

ご自分にとって言われたくなかった「禁句」はありますか?

「誰だっていっしょなんだから」

「朝しんどいのは病気の人だけではないだから安心しろ」という気持ちで言ってくれているとわかっていても、病気と診断される「しんどい」ってしんどさのレベルが違うんですね。それを同じ程度にとらえられるのはすごいストレスでした。回復の途中で自分が気づいてプレッシャーをかける必要はあるのですけど、本当に具合が悪い時のしんどさっていうのは自分で何とかできるレベルではないんです。

「全然そういう病気にみえないね」

症状が出始めの時や、ひどい時 たまに調子いい時に人にあって言われました。調子がいいから人に会えるんですよね。「まだ大丈夫だよ。悲観することないよ。おちこむことないよ」という意味でいってくれているんだと思うんですけど、いや、結構しんどいんですよね。

しんどい事をメールなどで伝えると「俺にはわからないごめん」、「どうしていいかわからない」と言われるし、その通りだと思うのですけど、それだけだと突き放されたように感じるので、「どんな感じでしんどいんだ」とか「いまはどうしていいか分からないけれど我慢しろよ」などプラス親身になってくれる言葉がけをしてほしい。一緒に苦しんでくれようとしていると思うと安心します。

逆によく「がんばれ」と言ってはいけないと言われていますが。調子が上向いてきている時は、「もうちょっとやってみたら?」という言葉をかけてもらえるとうれしいですね。あなたの好きなようになさいというニュアンスの言葉をいっぱいかけてもらうと先が楽しめるのかなと思います。

 

【オーバートレーニング症候群とは】

スポーツなどによって生じる疲労が、十分に回復しないまま積み重なって起こる慢性疲労状態のことを指します。

トレーニングは、日常の身体活動の レベルより大きな負荷の運動をすることによってトレーニング効果が得られるという原則があります。しかし、大きな過負荷を続けると同時に、疲労回復に必要な栄養と休養が不十分であった場合には、かえって競技の成績やトレーニングの効果が低下してしまいます。このような状態をオーバートレーニング症候群といいます。

体には疲れやすい・全身の倦怠感や睡眠障害・食欲不振・体重の減少・集中力の欠如・安静時の心拍数や血圧の上昇・運動後に安静時の血圧に戻る時間が遅くなるなどの症状が見られます。原因は肉体的・精神的ストレスにより、ホルモンのバランスが崩れるためと考えられ、重症になるほどトレーニングの減量・中止期間が延び、競技復帰が不可能になることもありますので早期に発見し対応することが必要です。

疲労症状が高まるにつれて起床時の心拍数が増加するといわれており、オーバートレーニング症候群を発見する目安になります。その他にも心理テストもチェック方法として有効と考えられています。予防方法としては、トレーニングの合間にしっかり休養を取る事と、運動をした後は水分とエネルギーの補給をきちんと行う事です。疲労回復にはまず炭水化物などの糖分を取るように心がけるのが大切です。