第十回「診断書をもらいたいのに病院に行けないとき、どうすればいい?精神保健福祉センターの無料電話相談で、解決案を聞いてみた」

2017年 8月 23日

こんにちは!pint storyライターの宮原です。

 

弊サイトを読まれているのは、現在うつ病で、会社や学校を休んでいる方が多いと思います。

 

しかし、なかには『最近体調が何かおかしい。辛いし、しんどい。おそらくうつ病っぽいけれど、まだ病院に行けず診断書もないから会社を休めない。しかし、動けないから病院に行けない。どうすればよいのだろう。』という状態で困り果てている方もいるのではないでしょうか。

 

今回は、このような状況の方への解決策を調べてみました。

相談窓口のある「精神保健福祉センター」とは何か?

まずは、精神問題をかかえる方を援助する専門家・ 精神保健福祉士の方に、どうすればよいか、どこに相談すればよいかを伺いました。

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回答

「とにかく困っており、どうすればよいか分からない場合などは「精神保健福祉センター」の相談窓口がよいかもしれません。

まとまりがない話でも、聴いてもらいやすく、そのなかで具体的な相談内容が明確になれば相談者にとってふさわしい対応方法や保健所や市町村の障害福祉課へ相談するよう導いてくれます。」

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精神保健福祉センターのおもな活動として、精神保健福祉士・保健師・心理士といった専門職の方が、心の問題・悩みごとに対し、来所または電話による無料相談を受け付けています。各センターにより違いはありますが、電話と来所による相談対応を月曜から金曜の朝9時前後〜17時前後まで受け付けている施設が多いです。厚生労働省のホームページに、各都道府県の精神保健福祉センターが一覧で紹介されていますのでご覧ください。(こちら→http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html)

 

各都道府県に1箇所はあり、地域によっては2〜3箇所設置されています。名称は「〜〜県精神保健福祉センター」の形が多いですが、「〜県心の健康センター」「〜〜県心と体の健康センター」など、すこし異なる場合もありますので確認してください。

 

この回答から、「精神保健福祉センター」の相談窓口に電話し、対処方法をたずねることにしました。僕が問い合わせたのは、平日の日中12時ごろ。電話をかけると、3コールもしないうちに落ち着いた優しい女性の声が電話口から聞こえました。

精神保健福祉センターの相談窓口から聞いた、病院にいけない場合の具体案は「往診対応の医療機関を探すこと」「保健所のサポートを受けること」の2つ

相談窓口の対応者に「知り合いが自身の体調の悪さからうつ病の疑いを持ち、会社を休みたいと思っている。しかし、まだ病院に行けず診断書がないので休職ができない。しかし、動けなくて病院に行けないので、どうすればよいかわからないようだ」と伝えたところ、すぐに具体案とその方と接する際のアドバイスを受けることができました。

 

具体案というのは、次の2つです。

 

1:「往診」を対応している医療機関を探す

通常は医療機関に足を運ぶ「通院」が基本的な診療の形ですが、なかには医師が自宅に来て診療する「往診」をしてくれるケースがあります。

すべての医療機関が往診を行ってはいませんが、お住まいの地域内に往診対応する病院やクリニックがあれば、自宅でも診察を受けることが可能です。

 

2:保健所への相談・対応を依頼する

「保健所」とは、精神保健福祉センターのように各都道府県に設置されている、健康や衛生に関する問題に対応する公的な機関です。

保健所に関しても、先ほどと同じ精神保健福祉士の方に説明を伺いました。

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回答

「相談内容が具体的に明確な場合は精神保健福祉センターではなく、保健所や市町村の障害福祉課に問い合わせていただいた方がよいです。受診に関係すること、各種制度利用等について相談が出来ます。」

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保健所は精神疾患に限らず幅広い健康問題のケアをサポートしており、精神保健福祉センター同様に相談窓口があります。保健所に相談すると、当事者の状況から保健師が自宅に訪問し、たとえば「一緒に病院に行く」「救急車を呼ぶ」などの対応につながるそうです。

 

この2つの具体案は、馴染みがなく少し抵抗感を覚えるかもしれませんが、「うつっぽい」「動けない」という状況は放っておけない大きな問題です。自宅にいながら専門家の対応が受けられるのであれば、検討するべきではないでしょうか。

精神保健福祉センターによる医療機関の検索・情報提供サービス

また、もし病院を探すのに困っている場合も相談すれば対応してくれます。

 

うつ病の可能性がある当事者が医療機関を自分で調べるのは、大変な作業です。病気のため通常よりも行動力や判断力が下がっていますし、精神科や心療内科を探すことに抵抗感を覚えることもあります。その場合は、精神保健福祉センターの相談窓口に住所を伝えれば、近くにある医療機関を教えてくれます。さらに「女性の医師に診察を受けたい」「カウンセリングを受けたいので臨床心理士がいるところがよい」といった条件を伝えれば、当てはまる医療機関の情報を提供してくれるそうです。

うつ病の方から相談を受けた場合は「話をよく聞くこと」「ひとりで問題を抱えずに、相談先や支援先につなげること」が大事

30分ほどの電話相談では、当事者との接し方や心構えについて、大事なポイントを教えてくれました。

 

・まずは、当事者の話をじゅうぶんに聞いてあげることが大事

 

体調が悪いとき、困っていることや辛さを言葉にすると楽になることもあります。「こうしろああしろ」とあなたの考えを先に一方的に伝えることは避け、まずは相手の話を否定せず感情を受け止めてあげることが大事です。また、十分に話を聞いたうえで、「あなたのことを大事に思っています。心配しています」「何かあれば相談してほしいと思っています」と相手に伝えることで、より安心させ、気を楽にしてあげることにつながります。

 

・相談先や支援先につなげることが大事

 

当事者から相談された問題を自分ひとりで抱え込まないことです。当事者にも精神保健福祉センターの存在を教えて、「相談できる場所がある」と伝えましょう。また、タクシーなどを使って一緒に医療機関に連れていくといった提案をしてみることも検討してもよいです。ただし、治療には病院へ何度も通院することが必要になるので、当事者が望むかを確認し無理やり連れていくことは避けましょう。

 

いかがでしょうか?具体的な対策だけでなく心構えといった基本かつ大事なことを冷静に教えてくれるのは、とてもありがたいことだなぁと、僕自身電話で説明を聞きながら思いました。

 

もし突然、身近な方・大事な方からうつ病の悩みを告げられても、普通はどうすればよいかわからなくなってしまうと思います。知識のあるなしに関わらず、動揺してしまうのは当然のことです。今回初めて「精神保健福祉センター」を知った方は、ぜひ今後活用してください。

病院に行きたくても行けない理由は、うつ病による「決断力と行動力の低下」

さて、今回の相談内容について、「体調が悪いことを自覚して休みたいと思うのに、なぜ病院に行かないのか?」と、そもそも理解できない方もいると思います。

 

うつ病の大きな特徴のひとつに、症状のため「決断力と行動力が大きく低下する」状態が起こります。つまり、あらゆることがめちゃくちゃ面倒になり頑張ろうとも動けなくなってしまいます。通常であれば「病院に行くこと」にたいした決断力と行動力が必要とは思えませんよね。そこで、病院に行くまでの道のりを改めて細かくしてみましょう。

・「病院に行く、行きたい」と思う

・インターネットもしくは電話帳などで、病院またはクリニックを調べる

・調べた結果から、自宅から近いなど条件のよい立地に当てはまるものを絞り、問い合わせる優先順位をつける

・順番に、電話などで問い合わせる

・電話で自分の状況を伝える

・初診の予約をするため診察日時のスケジュールを確認し予約を入れる

・予約した日時に足を運ぶ

といったところでしょうか。

 

元気であれば誰にでもできる、どうってことない作業です。しかし、うつ病により決断力と行動力が大きく低下した状態では、初診を受けるまでが途方もない道筋になります。そして悲しいことに、うつ病の症状のせいで動けずに医療機関に行けない場合がありうるのです。実は今回の相談内容は、架空の設定ではなく実際に僕の知り合いが友人から受けた相談でした。

 

また僕自身の経験としても、体調を崩したあと初診の予約をとって通院するところまではなんとかできましたが、そのあとに似た苦労をしたことを覚えています。

 

僕が最初に通院したクリニックは当時勤めていた会社近くにある立地でしたが、休職した後も自宅から離れていたそのクリニックに続けて通院することは負担になりました。そこで、自宅近くの医療機関に転院したのですが、うつ病の症状により転院手続きに大変な疲労と面倒くさい気持ちを感じたのを覚えています。転院の流れは、次のとおりです。

・かかりつけの医師に説明し紹介状を出してもらう

・自宅最寄りのクリニックを探す

・候補のクリニックに電話で転院したい旨を説明する

・診察予約をとる

少し話して、少し調べて、少し電話をするだけという、通常ならばトータルで1時間もあればすべて済む簡単な話です。しかし、簡単なことができなくなるのがうつ病です。これだけのことでも、よく一人で転院作業をクリアしたなぁと今でも当時の自分を褒めてあげたいほど大変に感じました。

 

当事者にとって通院も治療も、病気による体力や気持ちの低下や治療費の面で続けるのは大変ですが、そもそも治療のスタートラインに立つことも苦労します。その際にどうすればよいのかを、「精神保健福祉センター」と併せて知っていただければと思い調べてみました。身近な方が体調を悪そうにしていたら、ぜひ参考にしてみてください。

 

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
ストレス解消を目的の一環に、
・深夜帯に東京都内を集団でのんびりダラダラと歩く「深夜徘徊イベント」
・東京で深夜徘徊したい方同士を紹介、仲介する無料マッチングサービス「深夜徘徊.match」
などの運営を行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

Categories: 用語集

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