第十三回精神科医の先生に聞いてみた「精神科医と心療内科医の違い」は何か?

2017年 12月 7日

こんにちは、pint storyうつ病ライターの宮原です。精神科医の先生に素朴な疑問に回答していただく「精神科医の先生に聞いてみた」シリーズですが、今回はまだうつ病になっていない方や、ちょうど医療機関での診察を検討している方に知って欲しい情報をお届けします。

 

メンタルの不調を感じた際、皆さんの多くは精神科もしくは心療内科の病院またはクリニックを探し受診することでしょう。僕自身は2ヶ所のクリニックに通院しましたが、1つは心療内科、もう1つは精神科と心療内科を診療科として標榜していました。立地や初診予約状況などにより消去法でこれらのクリニックに通院することになったのですが、漠然と精神科と心療内科に対して次のようなイメージを持っていました。

 

『精神科は、重症の人が通う場所。心療内科は、精神科に比べると少しライトな症状の人が通う場所』

 

なんとなくニュアンスを理解頂ける方もいるのではないでしょうか。これは、それまであまり馴染みのない医療機関のため、知識が無さすぎてフワフワしたイメージしか持てないことが原因です。

 

・「精神科」と「心療内科」って、何が違うの?
・うつ病っぽいけど、結局どっちの診療科に通院するほうがいいの?
クリニックを検索しながら、このような疑問を感じる方もいると思います。さて、実際はどうなのか?今回は精神科と心療内科という診療科について、またそこで診療をおこなっている精神科医と心療内科医に関して理解を深め、もしこれから先に不調となった場合に迷わずスムーズに診察へと進んでもらうための参考になればと思います。

 

では、今回も精神科医の先生に疑問・質問にお答え頂きます!

 

精神科医=精神疾患の治療、心療内科=心身症の治療が専門

Q1.「精神科医」と「心療内科医」の違いは何でしょうか?

まずは基本的なことから、具体的にはそれぞれどういった専門性の違いがあるか質問しました。
「精神」「心療」と、どちらも似たワードが入っているためかイメージしづらいですが、専門家でない僕たちも区別して理解しておきましょう。

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<回答>

原則的には、精神科医は精神疾患の治療を専門とする医師です。精神疾患とはわかりやすく言えば心の病気で、具体的には、うつ病、統合失調症、不安障害(パニック障害や全般性不安障害など)、不眠症などです。またこれらの精神疾患でみられる症状としては、不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などが挙げられます。

 

一方、心療内科医は心身症を専門とする医師です。心身症とはこころに原因がある身体の病気のことで、具体的には、ストレスで生じた胃潰瘍、下痢や腹痛、高血圧などです。このため大きなくくりとしては、心療内科は精神科ではなく内科に属します。

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心療内科医の説明にある、『大きなくくりとしては、心療内科は精神科ではなく内科に属します』は知らなかった方も多いのではないでしょうか?この認識があれば、精神科医と心療内科医の違いを飲み込みやすくなりますね。

 

事前にチェック!あなたを診察する医師は「専門医」か

Q2.「精神科医」「心療内科医」となるには、何か特定の試験や研修など受ける必要があるのでしょうか?

続いては、医師の専門分野に関する疑問です。当たり前ですが、一刻も早く復調するためにも、しっかりとその道のプロに治療をしてもらいたいですよね。しかし、そもそもの仕組みとして、医師はどうすれば「精神科医」「心療内科医」という肩書きを持ち、名乗れるのでしょうか?

 

医療従事者でなければ、医師について一般的に知られているのは、医学部で6年間勉強したのち医師国家試験を合格すれば医師免許を取得し研修医となりキャリアが始まる・・・といった程度かと思います。医師免許を取得していれば、どの診療科の医師とも名乗れるのでしょうか。それとも、またいずれかの専門分野に関して特定の研修や資格試験など基準・条件を満たした医師だけが名乗れるのでしょうか?

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<回答>

それぞれの診療科には、学会の認定する専門医制度があります。例えば精神科であれば、精神科での診療歴3年を含む診療歴が5年以上で、指定された疾患のレポートを提出し、認定試験に合格すると専門医として認定されます(学会の専門医は更新が必要です。認定期間は、多くは5年間です)。心療内科にも同様の専門医制度があります。したがって、ホームページ等で医師の専門医を調べれば、その医師が精神科医か心療内科医かがわかります。なお、心療内科専門医は内科専門医であることが必要条件のため、精神科専門医と心療内科専門医の両方を持っている医師はほとんどいません。

 

ただしこれはあくまで学会が認定する専門医であり、国が認定するものではありません。法的には、医師免許を取得した医師はどの診療科の診療にも携わることができます。例えば医師免許を取得したばかりで専門医として認定されていない医師であっても、精神科病院に勤務して精神科診療に従事していれば「精神科医」と名乗ることが一般的です。また数は少ないですが、専門医でない医師が精神科クリニックを開業している場合もあります。

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それぞれの診療科で働く時点で、「○○科医」と名乗るようですが、一定の経験・知識を認定する『専門医制度』があるようです。「精神科医」「心療内科医」と名乗っている時点で十分専門性があるようにうっかり思ってしまいそうですが、覚えておいて損はないですね。

 

あと、最後に「数は少ないですが、専門医でない医師が精神科クリニックを開業している場合もあります」という、何気に恐ろしい情報が・・・!検索して都合の良い医療機関に目星をつけた際には、初診の申し込みをする前に所属医師の経歴・プロフィール欄などで「専門医」の文字を確認するようにしましょう(いまさらながら数年前にお世話になった2名の主治医をそれぞれサイトで確認したら、専門医と表記されていました)。

 

うつ病を診療するのは「精神科医」「心療内科医」どちらでも問題なし!

Q3.うつ病を治療するうえで、精神科医と心療内科医のどちらの医師に対応してもらった方が良いのでしょうか?

精神科医と心療内科医の違いと専門医制度につづいて、「うつ病になった場合、精神科医と心療内科医どちらの医師に診てもらえばいいのか」という疑問を答えていただきましょう。これは気になる方が多いのではないでしょうか・・・!

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<回答>

どちらかといえば精神科医に治療してもらうことが妥当ですが、心療内科医にかかられても問題はありません。

 

実際には、精神疾患で胃痛や頭痛などの身体症状がみられることもありますし、心身症で身体症状が軽い場合もあります。したがって両者の境を明確に区切ることは困難で、精神科医が心身症の治療を行うことや心療内科医が精神疾患の治療を行うことは日常的に行われています。このため一般的には、どちらの医師もお互いの領域の疾患を診ることができます。

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どちらの専門であろうと、もう一方の領域の疾患も日常的に診療しているので問題ないとのことです。ところで「両者の境を明確に区切ることは困難」とのことですが、僕自身の体験を思い返してみても本当にその通りだと感じます。

 

うつ病の代表的な症状といえる気分の落ち込みといったものがありますが、そのほか頭痛や吐き気、胃炎に手の震え、インポテンツといった症状が身体におこりました。しかし、これらは常に症状があらわれるわけではなく、治療中の時期によっても度合いや有無はさまざまでした。これが精神疾患によるものか心身症によるものか、はたまた投薬治療による副作用か。それらをこと細かに判断するというのは、まさに困難でしょう。医師の方でも難しいと感じることです、僕たちは迷うことなく、まずは精神科か心療内科どちらかに足を運ぶことを優先することがとにかく大事であるといえます。

 

診療科は自由に標榜できる

Q4.診療の専門分野区分である診療科について、「精神科」のみ標榜しているクリニックと、「精神科・心療内科」両方を標榜するクリニックとでは何が違うのでしょうか?

これが最後の質問になりますが、クリニックが掲げる診療科に関する質問です。うつ病になる以前から街中で看板を見かけると少し疑問に思っていましたが、精神科と心療内科、それぞれ1つのみ標榜しているクリニックもあれば、セットのクリニックもありますよね。

 

例えば、診療科の標榜が「精神科」のみであれば、何となく専門性が高そうというイメージの捉え方もできますし、逆に「精神科・心療内科」と両方揃っているとメンタルの不調を幅広くケアしてくれそうなイメージも持てそうです。これは所属している医師によって決まるのか、それとも実は標榜のルールは特にないというパターンなのか。さて、どうでしょうか!

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<回答>

原則的には、精神科のみを標榜している病院やクリニックは精神科医が診療を行っていて、心療内科のみの標榜している病院やクリニックは心療内科医が診療を行っています。ただ医療機関は診療科を自由に標榜できるため、精神科の医療機関が心療内科も標榜したり、心療内科の医療機関が精神科も標榜していることも少なくありません。

 

これには、上記のように精神疾患と心身症がオーバーラップするためという理由のほかに、精神科の受診の敷居を下げるために精神科が心療内科も標榜するといった理由や、心身症だけでは患者さんの数が少ないため心療内科が精神科も標榜するといった理由もあります。

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なるほど。基本は診療科が1つであれば、そのまま医師の専門と直結しつつも、複数の診療科が標榜されている場合は必ずしもそうとは限らないということです。

 

また「精神科の受診の敷居を下げるために精神科が心療内科も標榜する」とのことですが、まさに冒頭でお話しした僕が感じていた精神科のハードなイメージを、心療内科のイメージを標榜することで緩和する狙いもあるようです。確かに、精神科のみだと、「なんか嫌だな・・・」とマイナスな印象を持ってしまう人が少なくないかもしれません。そうならないためのひと工夫という場合もあるということです。

 

うつ病の疑いがあれば、精神科と心療内科どちらだろうと迷わず、まずは診察を!

今回のテーマにした目的は、精神科と心療内科に関するあやふやなイメージや漠然とした不安をスッキリ解消してもらい、うつ病治療を臨むにあたり少しでも行動の迷いをなくしていただくことでした。

 

うつ病をはじめとするメンタルに関する不調や疾患の問題の認知はインターネットや各メディアにより、ひと昔前よりも格段にオープンになっています。しかし、いつのまにか染み付いた先入観やあやふやなイメージのせいで治療に二の足を踏んでいる方もいまだ多くいらっしゃることでしょう。心身の不調を自覚している方や、周囲の方の違和感に気づいた方には、今回の情報を参考に1日でも早く診察につながって欲しいと願っています。

 

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
ストレス解消を目的の一環に、
・深夜帯に東京都内を集団でのんびりダラダラと歩く「深夜徘徊イベント」
・東京で深夜徘徊したい方同士を紹介、仲介する無料マッチングサービス「深夜徘徊.match」
などの運営を行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

Categories: 用語集

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