こんにちは、元うつ病ライターの宮原です。
僕自身が以前から思っていた疑問を、精神科の先生に医学的・専門的見地として回答を頂く「聞いてみたシリーズ」。
これまで、
・「うつは甘え」なのか聞いてみた
・「診断書」について聞いてみた
といった内容を取り上げてきました。
今回は、「診察室で、主治医にこんなこと言ってもいいの?」と疑問に思っていたことを聞いてみました。具体的には、次の3点です。
①薬物治療を止めたいと言いたい
②つい興奮し、強い口調で話してしまった
③もっとゆっくり診察して欲しい
うつ病を治療するため、1週間〜2週間に1度といったペースで通院している方も多いかと思います。しかし、実際の診察時間は10分〜20分程度、僅かな時間ではないでしょうか?
しかし、気づけば(いつも通り)あっという間に終わってしまい、「本当は○○について言いたい・聞きたいのに…」「モヤモヤする…」といった感情を抱えながらトボトボと帰宅する、といったこともあるでしょう。
少しでもその解消に繋がればと思い、今回以下の3つについて精神科の先生に聞いてみました!では、ご覧ください。
<①薬物治療を止めたいと言いたい>
Q.うつ病の改善が感じられず、また副作用による辛さもあるために、診察時に患者さんから、
「薬物治療をやめたい・控えたい」
と言われた場合、医師としてどういった対応が考えられますか?
また、医師としてそういった申し出を考えている患者さんに対して伝えたいことはありますか?」
<先生からの回答>
A.うつ病に対する薬物治療の有効性は多くの研究によって証明されていて、また経験的にも有効であることが多いです。したがって、一般的には、薬物治療を止めることはお勧めできません。
副作用がみられるようであれば他のお薬に変更することは可能ですので、主治医にご相談ください。次回の外来まで待てないような辛い副作用がみられるようであれば、予約の有無にかかわらず、できるだけ早く受診してください。
また、抗うつ薬の副作用は内服を開始してすぐにみられることが多いですが、その効果は内服を開始して数週間後にみられることが多いです。副作用が軽いものであれば、焦らずに効果がみられるのを待っていただくことも必要です。
どうしても薬物治療に抵抗がある場合には、中止をして他の治療法について相談しましょう。
薬物治療以外のうつ病の治療法としては、認知行動療法などの精神療法、休養・環境調整などがあります。これらは、薬物治療と並行して行われることが多いですが、単独で行われることもあります。
《この回答を聞いて思ったこと》
僕自身は、実は薬物療法を止めたいと思ったことは一度もありませんでした。ただ、結構なペースで様々な種類や量に変更されていくことに途中からモヤモヤは感じていました。
「…これ、飲んでて意味あんのかな?まぁ、とりあえず飲むけど…」
といったテンションで。
また、「とりあえず素直に処方された薬は飲む」というスタンスだったゆえに、なかには副作用で気持ち悪くなる薬があったにも関わらず、暫くの期間主治医に言わずに我慢して服用し続けたこともありました。
薬物療法に対して、止めたいと思う方は、きっとそう思うに至る理由があると思います。「抗うつ薬を飲むと〜〜になるという話を聞いた」とか「飲み始めてから、どうも○○がおかしいと思う」など。
それについてずっと抱えたままというのはとてもストレスになりしんどいことだと思いますので、回答にあるよう相談したり、場合によっては予約を早めての受診を考えても良いと思います。
<②つい興奮し、強い口調で話してしまった>
Q.なかなか向精神薬の効果が実感できず、焦燥感や副作用などによりフラストレーションが溜まりがちになることは珍しくないと思います。そういった患者さんから診察時に、
「全然効かないんですけど、意味あるんですか?(先生を)信用していいんですか?!」
といった内容を強い口調で言われたとしたら、どう感じますか?
<先生からの回答>
A.うつ状態の改善が自覚されず、辛い状況が続いていて、治療に対する不安感や不信感が生じているものと思います。
今後は、強い口調で話すほど不安が強くなる前に、何か心配なことがあればその都度相談してはどうでしょうか。
そういう事を言われても医師が治療に向かう態度は変わりませんし、引き続き通院しても何ら問題はありません。
《この回答を聞いて思ったこと》
先ほどの感想でも言った通り、うつ病当事者の方は、大なり小なりモヤモヤ感というのは抱え込みがちだと思います。
目の前の治療に対しても、仕事や家族といった生活に関しても、そして1ヶ月先1年先の将来に対しても、一体自分が今後どうなるのか分からないという先の見えない不安感を感じてしまいます。
さらに症状としての自責の念も絡まり、誰のせいでも無いはずのフラストレーションというものが自然発生してしまう場合もあると思います。
今回の質問では『強い口調』と表現しましたが、他にも病気以前やそれまでの診察ではしたことの無いような、「ぶっきらぼうな」「嫌味ったらしい」口調や態度を、ついとってしまう場合もあるかもしれません。
僕自身、なかなか症状に改善の変化が現れなかった時期の診察では、若干ふてくされたような態度を無意識にとってしまった覚えがあり、帰宅したあとに、そんな自分への自己嫌悪やフラストレーションに悶えながら布団の中に潜り込んでいたこともありました。
先生の回答にあるように、そういった覚えがある場合、「今度はその都度相談してみる」という新たな選択肢があることを知って頂ければと思います。
<③診察時間が少し短いような気が…。長くすることはできるの? >
Q.診察時間が5分10分程度で、少し駆け足な気がしています。できれば、ゆっくり薬の説明なども聞きたいと思っています。
それ以前までの診察時間よりも少し長くなってしまうけど、そういったお願いをしてもいいものでしょうか?
また、多少診療時間が伸びることにより、診察料金が変わったりするのでしょうか?
<先生からの回答>
A.もちろん大丈夫です。医師が時間を気にするのは、多くの患者さんが待っている場合だと思います。
したがって、急に具合が悪くなったなどの緊急の内容でなければ、待っている患者さんが少ない日に相談していただくとゆっくり答えていただけると思います。
次回はゆっくり話をしたいということであれば、あらかじめ主治医に伝えて、予約の患者さんの少ない時間帯に予約をとっておくのも一つの方法です。
診療に対する料金ですが、30分を超えると変わってきます。これは国が定めているものであり、医療機関が料金を勝手に安くしたり高くしたりすることはできません。
《この回答を聞いて思ったこと》
日本全国津々浦々、様々な方針や立場で対応されているお医者様がいらっしゃるので決して一概には言えませんが、「診察時間がちょっと短い」もしくは「診察が終わるのが早い」と感じているうつ病患者さんは少なくないかと思います。
こういった悩みに対しては、「もう少しゆっくり話したい」という旨を、前もって相談することで診察日時を調整してもらう工夫ができるということですね。とても具体的なアドバイス…!
一般的には、「1〜2週間に1度の診察」という基本的な診察ペースは変わらないかと思います。それは、他の患者さんも同様であって、つまり毎週その曜日のその時間帯はだいたい似た様な診察予約が入っているということで…、この場合では、なかなか当事者の方の希望と、医師の都合というものが合致しづらいですね。
また「30分以内か超えるか」により診察料に関わってくるという情報も併せて覚えておいて頂き、もし診察時間にフラストレーションを感じた場合は実践してみてください◎
いかがでしたでしょうか?もし少しでも、なんとも言えないモヤモヤや閉塞感の解消のお役に立てれば幸いです。最後までご覧頂き、本当にありがとうございましたー!

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。