第三回うつ病治療の三本柱 その②心理的な治療

2015年 2月 18日

こんにちは、宮原です。前回は、うつ病治療の三本柱のひとつとして「薬による治療」についてお話しましたが、今回は2本目の柱である『心理的な治療』に続けさせて頂きます。

 

前回の「薬による治療」で、『うつ病などこころの病気の際には、脳内の神経伝達物質の働きが低下したり過剰になったり』というお話をしました。もちろん、そういった生物学的な要因も大きいですが、うつ病に至る発症要因は、その方おひとりおひとりの性格であったり、周囲の環境であったり、価値観といったことが複雑に混じり合って発症すると思われます。

そこで、うつ病の方が、専門家との信頼関係を築きつつ、人間関係や普段の生活に起こる問題への対処法を見直し、よりよくなるようサポートしていくことが心理的な治療になります。
さて、その心理的な治療の方法ですが、その専門家によって病院・クリニックによって様々な種類の手法が行われます。今回は、そのなかから2つ、「対人関係療法」と「認知行動療法」という種類のご説明をしたいと思います。なぜなら、2種類の療法は、これまで多くの検証がされ、実際に効果が高いと認められているものだからです。

対人関係療法とは?

最初にお伝えするのは、「対人関係療法」というものです。この対人関係療法は、「うつ病って、発症直前に人間関係に問題があって起こることが多いよね?」
ということに目をつけた、アメリカのクラーマン医師らによって開発されました。最近では、アメリカ精神医学界のガイドラインにも掲載され、国際的に認められた治療法となっています。

現在苦しんでいるうつ病の症状について深く切り込むことはなく、そのうつ病の方に非常に近しい大切な人(家族や配偶者、または恋人)との対人関係にスポットを当て、問題点を洗い出したり、判明した対人関係の歪みに関して解決に近づくような考え方・物事のとらえ方をカウンセリングと共に進めていきます。具体的なプログラムは、その専門家によって多少の差異はありますが、とても近しい人間関係に絞っているので、うつ病の場合であれば、数ヶ月ほどで終了する場合が多いといわれています。

認知行動療法とは?

さて、続いては「認知行動療法」のご紹介をしたいと思います。認知行動療法は、英語だと「Congnitive Behavioral Therapy」となり、略すことで「CBT」とも言われます。CBTって。メンズエステ的な何かを感じます。認知行動療法とは、個人の凝り固まったものの考え方・受け止め方を柔軟にしていき、それ以前と違った受け止め方や問題の解決法を知る方法です。身近にうつ病の人がいらっしゃる方は「あ〜」と、何となくご理解頂けるかもしれませんが、うつ病のときは、ビックリするほどに、めっっっっっっちゃくちゃネガティブになります。「え、ちょ、おいマジか」と思えるくらい逆にすごいレベルでネガティブになります。
例えば目の前を超カワイイ黒猫が通り過ぎたとして、人によっては、「あ〜!可愛いニャンニャンだぁ〜〜!!」と甲高い声をあげつつスマホで写メをバシャバシャ撮ってTwitterかInstagramにアップしようとするかと思いますが、うつ病ネガティブレベルだと、「黒猫・・・、やっぱり俺はダメだ、不幸になるべくしてなったんか…」と本気で思い、そして凹みます。

黒猫1匹でも、こういうことが起こり得るくらいに、うつ病の方は何であろうとマイナスに受け取る可能性があります。もちろんそれはうつ病の症状ではありますが、とても苦しむ原因でもある、この物事の受け止め方・考え方=「認知」を改善するのが、認知行動療法になります。「認知」ですとか、「物事の受け止め方」という言葉ですと少しお堅い印象ですが、例えばネットとか書籍で、偉人の名言集みたいのありますよね。あれを読むとたまに、「そんな考え方があるのか!ほほう〜!」となって、少しだけ煮詰まっていた部分がほぐされて僅かに視界が開けるような感覚になって、一瞬気が楽になりますよね。効果としてそんなイメージを持って頂ければと思います。また、この認知行動療法は、通常専門家と一緒にカウンセリングの時間に行えることですが、「コラム法」という普通のノートだったりレポート用紙で行える手法もあるのが嬉しいところです。

6つの認知のゆがみ

先ほど、「うつ病の方のネガティブレベルはすごい」といいましたが、専門家の方が、うつ病の状態になるとどういった物事の受け止め方になる場合があるのか6つに分類していますので、ご紹介しておきますね。
身近にうつ病の人がいらっしゃる場合、日々のなかで、「なんでそんな風に思っちゃうの?!」のオンパレードだと思います。その際に、「ああ、これはあのパターンのやつか〜」と参考にして頂ければと思います。

  1. 自分勝手な推測・・・「遅刻してくるのは、俺のこと興味ないからだ」など、証拠は特にないのに自分勝手に思い込んでしまう。
  2. 選択的な抽象化・・・他には良かったこともあったはずなのに「道行く人に笑われた」など、嫌だったことしか目が向かない。自分が気になった物事にしか目がいかず結論づけてしまう状態。
  3. 過度の一般化・・・「友人Aから連絡がこない…。もう、誰も俺なんかに連絡してくれない」といったように、些細な事実から全てを繋げて決めつけてしまう。
  4. 個人化・・・「あのプロジェクトががうまくいなかなかったのは自分のせいだ」と、悪いことを全て自分と関連づけて考えてしまう。
  5. 絶対的二者択一的思考・・・「0か100か。イエスかノーか。」、しか選択肢がなく、完璧でない=失敗だと決めつけてしまう状態。
  6. 誇張や矮小化・・・悪いことは誇張して受け取り、良かったことは低く受け取ってしまう。

以上になりますが、うつ病の方や抑うつ気分になると、普段の日常のなかにネガティブトラップがいたるところに現れてしまうことが少しだけ知って頂ければと思います。

最後に

以上で、「対人関係療法」と「認知行動療法」の説明とさせて頂きます。薬物での治療で少しお話ししましたが、決して薬でその人の人格といいますか性格が変わってしまうことはありません。そして、それはカウンセリングも同じです。「歪みを直す」「考え方=認知を柔軟にする」といった表現ですが、あくまでも改善に向かうだけで性格は変わりません。
なので、もし身近ながうつ病で苦しまれているとして、薬での治療がなかなか一進一退だという状態でしたら、こういった方法も取り入れることを一考して頂ければ幸いです。ちなみに、この2つの療法に関しては書籍もたくさんありますし、認知行動療法はウェブで行えるサービスもあります。(以下)

U2plus
http://u2plus.jp/
うつ・不安ネット
http://www.cbtjp.net/
最後までお読み頂きありがとうございました。次回は、うつ病治療の三本柱の最後「環境の調整」をお話したいと思います。お時間あれば、他の記事も読んでみてくださいね。

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。