第三回うつ病治療の三本柱 その①薬による治療

2015年 2月 18日

こんにちは、宮原です。3回目となる今回のうつ病コラムでは、「うつ病治療の三本柱」と言われています、①薬による治療②心理的な治療③環境の調整についてお話させて頂きます。薬による治療はうつ病の治療において現時点では最もポピュラーな治療方法だと思いますが、改めて色々と知って頂ければと思います。

薬の種類

実際にうつ病になり病院などに行ったことがなくても、「うつ病の人って、抗うつ薬?っていうのとか、あと眠れない時のために睡眠薬とか飲んでるんでしょ?」といったことをご存知の方がいるかと思いますが、実際にうつ病の方が飲む場合がある薬の種類について、簡単にご説明したいと思います。まず、精神症状を改善させるための薬として『向精神薬』と呼ばれる大枠があります。そして、それらのなかでも大きくカテゴリーを5つの種類に分けられています(数は少ないですが、以下の分類に分けられない薬もあります)。

  • 抗精神病薬
  • 抗不安薬
  • 抗うつ薬
  • 睡眠薬
  • 気分安定薬

これらそれぞれのカテゴリー内には、効果は似ているものの名称などが異なる薬が複数あります。市販されている風邪薬でも、「せき・のど・頭痛、風邪の諸症状に」という似たような効果・フレーズなのにたくさんの種類があり、ドラッグストアーに陳列されていますよね。こういったカテゴリーから、患者さんから聞いた症状に合わせて、医師は処方を決めていきます。うつ病の場合は、まず抗うつ薬を一種類、必要に応じて睡眠薬や抗不安薬を追加するというのが一般的との事です。

うつ病のクスリって、怖い?

先ほど出てきました「向精神薬」だとか「気分安定剤」なんて聞くと、初めて聞いたり、初めて飲む方のなかには、「え、なにそれ怖い。飲むとアッパーな感じになっちゃうの?それともダウナーな感じ?」
と、ぶっちゃけ危険ドラッグ的な存在に感じてしまう場合もあるかと思います。そして、ドラッグ的なイメージから、「やめられないとまらない、◯っぱえびせん」状態になってしまうんじゃ…?と連想する方もいらっしゃるでしょう。

ずいぶん前になりますが、僕自身がうつ病というものをテレビや本やネットで初めて知ったときには、うつ病の時に飲む薬というのは、漫画とか映画なんかで出てきそうな白衣を着たマッドサイエンティストがビーカーを持ちながら

 

「フヒュヒュ・・・この薬を飲めば、明日からキミも学校の人気者だよ…だよ……」
『え、ほんとう?!(いじめられっこのメガネキャラ歓喜)』

 

みたいなシーンに登場する薬と同類的なイメージを持っていました。しかし、実際そんなことはありません。ご安心ください。なぜなら、抗うつ薬を飲む目的というのは、「脳の正常な機能を回復させる」ということにあるからです。

現在いわれている「うつ病のメカニズム」としては、うつ病などのこころの病気になると脳内にある「神経伝達物質」というものの働きが通常よりも過剰になったり著しく低下したりするという変化が起こっているといわれています。薬を飲むことによって、これを以前の状態に戻すことを目指しているので先ほどのマッドサイエンティストのくだりのように、薬によって人格が変化してしまうということはありません。そう、実際には抗うつ薬には人格を変えるような力はありません。崩れていた脳内の神経伝達物質のバランスを元々の状態へ戻すだけです。

この、元に戻す作用のある薬を「ノーマライザー(正常化薬)」と呼ばれることもあるそうなんですが、どうですか。ノーマライザーですって。怖いっていうか、むしろカッコよくないですか。ノーマライザーですよ、ヤングジャンプの漫画に出てくる特殊能力者のニックネームみたいです。

薬の副作用

しかし、残念なことですが、抗うつ薬は良い事づくしではありません。あくまでも個々人によってなのですが、薬の副作用が出てしまう場合があります。代表的な副作用の症状は以下の通りです。

  • 吐き気
  • 性機能障害(性欲低下、勃起障害、射精障害など)
  • 眠気
  • 便秘
  • 口の渇き
  • 胸のむかつき
  • 立ちくらみ
  • イライラ感

ちなみに、僕自身は、吐き気・胸のむかつき・性機能障害などが副作用として体験しました。吐き気などもとても不快でしたが、とてもショックだったのは性機能障害です。
「ウソやん…。オレ、どうした…? オレのオレ、どうした?!」と、割と笑えないレベルで衝撃を感じたのを覚えています。

薬の効果

「副作用が出てしまう場合がある」という嬉しくない情報をお伝えしてしまいましたが、またも引き続き嬉しくない情報になります。それは、抗うつ薬などを飲んでも、2〜3日でしっかりとした効果が現れることは、あまり無いと言われているということです。誰しもが飲む場合が多い普通の風邪薬ですとか、もしくは腹痛止めや胃腸薬。これらは、飲んで数時間〜半日、もしくは1日で効果を実感できますよね。そういった感覚が基本的にあるからか、うつ病の薬もすぐに効果が現れるのを当然期待してしまいます。しかし、実際には効果を実感するには数週間かかります。にわかには信じられないですよね。もし普通の風邪薬がそんなに時間かかったら、僕も「ハァ?」って思います。「絶対売れないだろ、それ」っていう。

病院・クリニックなどでは通常の場合、ある種類の薬を十分な期間(数週間)と量を飲んでもらいつつ、有効でない場合は他の薬剤に変更していくという流れになります。人によっては、薬の効果が出現するのに9週間以上かかるという場合もあるそうで、その期間は個々人やお医者さんによる判断によって変化します。先ほどの副作用についても同様ですが、どうしても「必ずこうなる」とはいえないのが、抗うつ薬です。それは、個々人と薬にはさまざまな相性があるからです。
なので、自宅療養中に、同様にうつ病になっている方のブログとか読んでいて「このブログの人は、この薬を飲んでたらめっちゃ効いてきて治ったらしい!じゃあ僕も飲む!!」とはなりません。その人に効いたとしても、別の人には効かない、といった面があるからです。また、薬が効きすぎる「アクチベーション」という症状もあります。これは薬の飲み始めや、薬を増量した時に起きやすいと言われていますが、他人に対して攻撃的になったりなど衝動的になる症状です。このような症状が出た場合は、次の診察日を待たずにすぐにかかりつけの先生に診てもらう必要があります。

多分、薬あるある

「うつ病の薬っていうのは、効果が出にくいらしい。なのに薬が効きすぎることもあるし、副作用が出る場合もある。・・・なんじゃそら?!」と思ってしまいますよね。最初にいった、うつ病のクスリのイメージによっては、「飲んでも意味ないし、むしろ抗うつ薬なんか飲んだらヤバい。」と決めつけてしまう場合もあるかと思います。ただ、「飲んだら廃人になる」ですとか「全く効果がない」という薬を日本中、いや世界中で精神科のお医者さんが処方しているわけではないですよね。うつ病の方は、ただでさえ心理的にネガティブになっているんだから心配なのも怖く感じるのも、むしろ当然だと言っていいくらいだと思います。
なので、そこは藪から棒に反抗的な態度をとらず、お医者さんの指示に従いつつも、診察の際に心配なこと、不安なことはちゃんと質問をしてみるのはどうでしょうか。また、なかにはキチンと薬を飲みたいけど、ただでさえ体調が悪くシンドいのに、さらに副作用が出る。それに、生活サイクルが乱れがちということで朝・昼・晩・寝る前などに毎日毎回は飲めずにいる場合もあるかと思います。そういった場合は、「薬も時間通りに飲めなかった・・俺(私)ってダメな奴、恥ずかしい。。。」という思いを抱えたままでいいので、どれくらい飲めなかったのかなどお医者さんに報告してみましょう。薬の中には一日に一度飲めばよいという種類のものもあります。お医者さんに正確な情報を伝えることで、時間通りに飲めなかった場合の対応方法など、アドバイスをもらえるかもしれません。

いつまで飲むの?

うつ病の方や、またその周囲の皆さんの力で、徐々に体調が戻ってくるタイミングがあるかと思います。その段階の患者さんは自己判断で、「今日は調子がいいから飲まなくていいでしょ!なんか良い感じだし〜!」と、思う場合もあるでしょう。しかし、症状の程度はおさまっているとしても、実は脳内の神経伝達物質のバランスというのは未だに崩れている状態というのがあるそうです。

なので、症状自体は安定していても、体調が良くなってもその後数ヶ月〜1年ほど薬の服用が求められることがあります。それは、別にお医者さんがお金儲けでいつまでも患者を引っ張ってるとかヤク中にしようとかではなく、うつ病の慢性化と再発の防止のためなのです。良くなりきらずに、症状が継続したり、もしくはまた近いうちに再発するということがうつ病は起こりやすいといわれています。そのために、お医者さんが長めの期間、薬を処方する場合があります。

また、自己判断で勝手に薬の服用をやめると、「中止後発現症状」といって、

  • 不安感
  • 焦燥感
  • 不眠
  • めまい
  • 吐き気

といった症状が現れることがあります。そういったことが起こらないように、お医者さんは中止後発現症状をチェックしながら薬を減らしたり、薬を止める判断をします。中止後発現症状で苦しまないためにもお医者さんと言葉を交わしながら徐々に進めていきましょう。

最後に

最後の最後に言うのもアレですが、実は、現在うつ病のメカニズムというのは、完全に解明されてはいません。途中にでてきました「うつ病の方は、脳内の神経伝達物質の働きが低下したり過剰になったりで・・・」というのも、完全に確定しているわけではなく、有力な説の1つです。

いくつかの有力な仮説が立てられていますが、実際にうつ病の方全員にそれが起こっているわけではないです。抗うつ薬自体は、さまざなな検証で「効果がある!」ということで使用されています。
しかし、実際は「個々人との相性」として効くかどうかは、使ってみないとわからないというのが実際のところです。「これをこれくらい使えば、絶対うつ病はこうなる」と全ての人にいえる指標はいまのところないのです。僕自身、「抗うつ薬を飲んだから回復できたのかな?飲まなかったとしたらどうなっていたのかなぁ?」といった素朴な疑問を今でも持ち続けています。

そこで大事になるのが、「ただ薬を飲んでいればうつ病は治るのではない」とは言い切れないということです。第三回のコラムは、つづいて「心理的な治療」「環境の調整」といったお話をさせて頂きますが、そういった複合的な対策をとることで、うつ病の症状は「薬だけ」という対処よりも抜群に改善される場合があります。

また引き続き次回の記事もご覧頂ければ嬉しいです〜。では、一旦失礼致します。

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。