第三回うつ病治療の三本柱その③環境の調整

2015年 2月 19日

こんにちは、宮原です。うつ病コラムの第三回は「うつ病治療の三本柱」についてお話させて頂いていますが、今回で最後になります。前回・前々回は「薬による治療」「心理的な治療」というテーマでしたが、今回は『環境の調整』という手段についてです。

 

とつぜん『環境の調整』と聞くと、「アフリカ・サバンナの自然と動物を守るんだ!」みたいな話のようですが、ここでいう環境とは、職場や自宅など一日の多くの時間を過ごす場所のことであったり、家族を含めたあらゆる人間関係のことを指します。それらのなかで、うつ病の発症原因に関わると思われる問題があれば解決していき、身体的にも精神的にもうつ病の方がより休める環境にすることを目的とします。例えばストレスの大きな原因である職場にい続けることは継続して多大なストレスになっているので、職場を変えるなどしてこの原因を断ち切れるならば、相性の良い薬を飲み続けることに匹敵する、もしくはそれ以上の改善のキッカケになるかもしれません。

「その①薬による治療」にもお話しましたが、うつ病の治療は必ずしも「薬だけ飲んでいればいい」というものはなく、「ただ横になっていればいい」というものでもありません。複数の手法を複合的に噛み合わせながら進める方が、効果が抜群になりやすいのです。では、実際の「環境の調整」とは、どんな方法があるのでしょうか。3つの方法をお話しさせて頂きますね。

家族や親しい人間と話す

いまお読み頂いてる方のなかには、「家族など身近な人間がうつ病だ」という方もいらっしゃるかと思います。うつ病の方のことが心配になって、自らこういったサイトを検索しているとすれば、僕はとても素晴らしい方だと思います。なぜなら、たとえ家族であっても、必ずしもうつ病といった病気に理解を示してくれるとは限らないからです。しかし、うつ病の全てをすぐに理解できるわけではないと思います。個々人によっても症状なども異なりますしね。

また、それはうつ病当人も同じで、何をどう説明すればいいのか、そもそも何を理解してもらいたいのか、どうすればいいのかわかっていない場合があります。そんな時は、何をどうツラいと思っているのか、うつ病の方の調子も検討しつつ、ゆっくりじっくり穏やかにお話されてみるのは大事です。そこで初めて、「実は会社の誰それさんと一緒にいたくない」など、わかるかもしれません。また、専門家でなくても、何か協力できることが判明するかもしれません。どうにもそういう場を設けるのが難しい、またはどうすればいいのか皆目検討つかないということであれば、通院先のお医者さんと本人交えてお話されると良いと思います。

職場・役職の検討をする

うつ病の方が、もし企業にお勤めの際には、ストレスを感じる職場であれば異動であったり、もしくは責任の重い役職・ポジションから退くという対応を検討するのも環境の調整になります。こういったことが可能な企業かどうかは、お勤め先によって様々であると思いますので、「産業医」と「人事」を交えてどういった対応が可能か確認と相談をしてみる方法があります。

入院してみる

そして、最後の3つ目が、「入院」です。

正直、「え?」と思われた方もいるかと思います。「いやー…、それは、なんていうか、ちょっと・・」と。ぶっちゃけ、うつ病のようにこころの病気で入院というと、映画「デスノート」で、全盛期の戸田恵梨香演じるミサミサが、鉄格子のなか全身を拘束されて鉄の椅子に座らされる、みたいな図をイメージされる方もいるかと思います。実際のところ、入院というのがどういったパターンがあるのかお伝えしたいと思います。

 

《任意入院》

まず基本となるのは、このパターンです。入院が必要であると医師が判断し、ご本人が書面を通して同意した場合に入院となります。この任意入院では、一定の書類提出などは必要な場合が多いですが、原則病院の出入りも昼間は自由です。また、携帯やパソコンの持ち込みについては、本人の休養に繋がるかどうかから判断される場合があります。

 

次は、本人の同意・了承がなくても入院する形になります。「え、本人が嫌でも入院させされちゃうの?」と思いますが、ご本人の生命に危険のある場合(自殺したいという気持ちが強いなど)などに、その人の身を保護する必要が出てくる場合があります。このような時に、しかるべき訓練を受け、経験のある専門家による判断で入院となる場合があります。

 

《医療保護入院》

入院治療が必要な状態であるものの、ご本人には入院に同意する能力がない場合の入院形態です。資格を持った精神科医(精神保健指定医)によって医療保護入院が必要であると判断され、ご家族等の保護者が同意すれば入院となります。この「医療保護入院」の場合、施錠された病棟への入院となることが多く、うつ病が重症で自殺の可能性がある場合などには、施錠された個室に入ることもあります。必要な治療を継続すると同時に、ご本人を保護するためです。外出や室内への物品の持ち込みは制限されることが多いです。

 

そのほかに、興奮が激しく自分や他人を傷つける可能性が差し迫っている場合の措置入院や、資格を持った精神科医(精神保健指定医)が緊急の入院が必要と判断した場合の応急入院がありますが、うつ病でこのような入院になるケースは稀なため省略します。入院中の生活パターンについては、その他の怪我・病気などの入院と同じく、消灯時間があったり、決められた時間によって食事が配食されるという感じです。また、ポピュラーな部屋は4人部屋になります。2人部屋もしくは個室の場合、別途料金が発生する場合が多いです。なので、他にも人がいるということもあり、自宅よりも昼夜逆転などの生活サイクルが改善される場合が考えられます。

 

「ぶっちゃけ、入院ってどれくらいの費用がかかるの?」と思ったので、精神保健福祉士の方に聞いてみました。
<精神保健福祉士の方のお話>

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うつ病による入院費は、怪我や手術で入院する場合と特に変わりなく医療保険の範囲で請求されます。
ただ、病院によって室料ですとか、その他アメニティセット料金など医療保険対象外の請求はケースバイケースとなります。
例えば、一ヶ月間入院した場合、殆どの方が高額療養費制度・健康保険限度額適応認定証といったものの利用で自己負担額を軽減することができます。これにより一ヶ月の医療費を一般の方で見ていくと

80,100円(←収入によって変動あり)+α(診療費上限額)+24,180円(入院時食事療養費)=約11万円

となります。よって1日あたりの入院費用の最低額は、およそ3,500円程度となります。先ほども言ったとおり、ここに室料・その他アメニティセットなどの保険対象外費用が加わることがありますので、各病院などにお問い合わせは必要かと思います。
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だそうです。勉強になりますね。

最後に

僕自身は、実は職場の変更や入院といった経験はありません。ただ、職場を休職している期間中に、当時の家ではなく短期間長野県にあります実家に帰って休んでいることがありました。当時の家の最寄り駅は前職の社員が多く利用しており、たまに外出する際も突発的に会社でのことを思い出してしまうなど、精神的に休みづらい場合があったのですが、そんな話をしたある時に、担当医から、「ご実家にてゆっくり休んではどうですか?」と、提案されました。半信半疑で言われるがまま実家に戻ってみましたが、良い意味でそれまでの現実から隔離といいますが、距離を置けたようで、会社でのことがフラッシュバックされたりなどの回数は激減し、短期間のなかで心が休まるのを実感しました。職場の変更であったり入院という方法は、それと同じ環境に近いんじゃないかと思っています。
以上で、「環境の調整」に関するお話しを終わらせて頂きたいと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。
今回は、「薬での治療」「心理的な治療」「環境調整」という三本柱をご紹介致しましたが、うつ病は、『これをすれば絶対良くなる』とは言い切れない病気です。

「通院してるのに」
「薬飲んでるのに」
「カウンセリング受けてるのに」

など、うつ病本人の方や、また、周囲の方も「なんでだ?!」という想いでいっぱいになるかと思います。もし、何かひとつの方法(「薬を飲む」だけなど)ですぐに改善が見れなかったとしたら、それを止めてしまうのではなく、無理のない・可能なかぎりで構いませんので、他の方法を専門家の方と相談しながら複合的に進めてみるという方向も考えてみて頂ければと思います。
よかったら、他の記事も読んでみてくださいね。では、失礼致します。

 宮原直孝 一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事 1984年 長野生まれ。 会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。 転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。 現在はヘラヘラしながら、 ・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」 ・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」 ・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」 などを行う。 抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。

<執筆者プロフィール>
宮原直孝
一般社団法人いっぱんじん連合 代表理事
1984年 長野生まれ。
会社員時代の09年 7月頃〜11年1月頃までうつ病により休職、その後退職。
転職活動がうまくいかない現実逃避から何となく勢いで当法人を設立。
現在はヘラヘラしながら、
・深夜に都内を集団で歩く「深夜徘徊イベント」
・ただダラダラとダベるだけの「ダベPartner活動」
・出来る事であれば何でもする「代表デリバリーサービス 〜心が弱った時に、都合の良い男〜」
などを行う。
抱えている柴犬は、よく出来ていますが木彫りです。